自分からオーディションを仕掛けて、「選ばれる人」の道を進む

 私は20代で、ソリの合わない上司から雑用ばかり押し付けられ、心身の過労から長期病気欠勤を経験する羽目になりました。明らかに、私にとっては居心地の悪い場所にいたからです。

 その状況を抜け出し、本来の「自分にふさわしい居場所」に移り、「私にふさわしい役割」を獲得するために、経営幹部にあてて一通の企画書を送りました。それまでの考えや思いを込めて、一枚の企画書にまとめて提出したのです。

 この直後に、私は望んだ部署に移り、自ら企画したプロジェクトのリーダーとして思う存分に望む仕事を担当させてもらえることになりました。この経験を通じて、組織の動かし方、人の説得方法や交渉術など、実に多くのものを学ぶこともできました。

 やがて、このプロジェクトがきっかけで、旧態依然としていた社内制度の改革が進み、その成果で私は「功績賞」や「社長賞」を相次いで受賞。

 この事例をある講演会で紹介したことがきっかけで、多くの企業から講演やコンサルティングの依頼が舞い込み、雑誌から取材を受ける立場にもなりました。

 病欠していて情けない思いを抱えていた頃と比べると、自分でも信じられないほどの状況の変化です。

 この一連の変化を起こしたきっかけは、たった一枚の手書きの企画書です。

 もしも、私が企画書を送ることをためらっていたら、このような変化も喜びも決して手に入ることはなかったでしょう。おそらく復職後も、毎日のように上司から怒鳴られ、グチを言い続けていたと思います。

 それまでに培ってきた力と思いをすべてこめて、勇気を出して一歩を踏み出したから、私の目の前に進むべき道が開けたのだと思います。

 いまのあなたが、現在の仕事や人間関係も含めて、すべてに満足しているのなら、わざわざそれを変える必要はないでしょう。

 でも、もしも現状に満足を感じられず、将来に希望を見いだせないなら、自分から進むべき道を切り開きに行くことをおすすめします。夢や目標があっても、待っているだけでは現実は何も変わりません。本当にそれを手に入れたい、実現させたいと願うなら、いますぐ行動を起こして、自分の運命の道を切り開きに行くべきです。

 それが、「自分からオーディションを仕掛けに行く」ということです。

 では、次回は、このオーディションの仕掛け方や、オーディションで合格するためのポイントをご紹介していきましょう。

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