学習指導要領はほとんど
なくても問題ない

 初等・中等教育では必ずと言っていいほど(学校教育法施行規則に基づき文部科学大臣が告示する)学習指導要領が論争の一つの核になる。「ゆとり教育」vs「詰め込み教育」が、その典型であろう。2011年に改定された、「新学習指導要領・生きる力」については、その内容を知らない人も結構多いのではないか。誰でも簡単に読めるので、まずは一読してほしい。

 私見では、学習指導要領自体は将来、仮に全廃しても何も問題は生じないと考える。このような画一的な基準がなくても、例えば松下村塾では有為の人材を数多く輩出した事実もある。残すとしても、せめて小学校の6年間で数えることの大枠を定めるにとどめ、思考力のベースとなる国語では、例えば学年別で教える漢字の配当表のようなものは、早刻、廃止すべきではないか。

 一例を上げれば、「川」という字は一年生で習うが、「谷」という字は二年生に配当されている。これを杓子定規に運用すれば、一年生には「たに川」と教え、二年生になって初めて「谷川」と教えることになる。これは、日本語に対するほとんど冒涜のようなものではないか。漢字配当表のメリットが仮にあるとすれば、教えてほしいものだ。

 また、学校教育法施行規則で定める各教科の授業時数などについても、同様で、授業時間は学校毎の自主裁量に委ね、自由に競争させて何か具体的な弊害が生じるだろうか。学習指導要領などについては、小学校6年間を通して大枠を示すにとどめ、その中の割り振りについては学校の自主性に委ねる方向が望ましいと考える。