中学・高校は一貫教育を基本に
ただし「飛び級」も
わが国では、小学校6年と中学校3年の合計9年が義務教育期間とされている。これはアメリカ(州によって異なり、12年の州もある)やドイツと同じであって世界の中では平均的ではあるが、10年のフランスや11年の英国、12年の香港のようにもっと長い国もある。
ところで21世紀のわが国は、急速な少子高齢化や巨額の財政赤字など、もはや他国に範を求めることができない「課題先進国」となってしまった。このような状況下では、中長期的には、国家百年の計と言われる教育の力によって困難な課題をブレイクスルーする有為な人材を育てるしか他に方法はない。そうであれば、中学校と高等学校を合体して、6年制の一貫校を義務教育として再構成してはどうだろうか。
ただし、中学校に入る年頃になると個人の能力によって学力(走力などの運動能力も同じである)には大きな開きが生じるようになる。これは言うならば動物であれば当然の自然現象である。そこで、新しい一貫校については、6年制を標準としながらも最短で4年程度で修了できる「飛び級」を設けることが望ましい。
前回述べたように、大学も2~4年の幅で修学年限を考えれば、早熟な生徒は、小学校6年、中高一貫校4年、大学2年の合わせて12年で社会に出る、あるいは大学院に入ることになる。18歳である。筆者は基礎体力から考えれば、成人年齢も現行の20歳から18歳に引き下げていいと考えているが、早ければ18歳で学業を終えて社会に出るという考え方は、グローバルにみれば決しておかしくはないのではないだろうか。
教育については、それこそ百家争鳴ではあるが、とりわけ初等教育・中等教育については、人間が動物であるという視点が欠かせないと考える。そう言えば、ずっと以前、若気の至りで、文部科学大臣の適正については、経験を積んだ動物園の園長がむしろ望ましいのではないかというコラムを書いたことを思い出した。
(文中意見に係わる部分はすべて筆者の個人的見解である。)