現代は計画を立ててそれを遂行し、
確実に達成することが求められている

 今回は、なぜ中間の状態にいることが良いのかということに触れたいと思います。

 私の診察室を訪ねてくるビジネスパーソンに、休日をどう過ごしていたかを聞く機会があります。

 東京映画祭、フェスティバル東京(演劇の祭典)、英会話――。最近であればそんな話題が会話にのぼります。多くの人は、休みの日に何かしら計画を立ててアクティブに行動しています。

 もちろん、そういうところで楽しむのは悪いことではありません。場合によっては気分転換にもなるとは思います。

 ただし、ゆっくり休むことが必要な人たちには、必ずしもお勧めできません。

 平日は忙しく働いているので、せめて土日ぐらいは家でゆっくり休んでくださいとお話ししても、その人たちはこんな理由から行動せずにはいられないのです。

「時間を無駄にしている」「人生を楽しんでいない」「自分を向上させていない」

 心や体のバランスを崩して休む必要に迫られているにもかかわらず、休むことに耐えられません。休みの日でも何か予定を入れなければ、人生を無駄に生きているという強迫観念に駆られているかのようです。

 なかには「何もしなかった」という人もいます。

 しかし、どういうわけかその人は後ろめたそうに語るのです。私に「それはとてもいいことです。体が休まりましたね」と言われてはじめて、何もせずに休んでもいいのだと認識するほどです。

 現代は、自ら能動的に計画を立てて生きるのがよいこと、という風潮があります。

 それはそれでいいことだと思います。でも、計画したからには必ずそれを遂行する、うまくいって当たり前、何もしないことや計画しないで時間が過ぎていくことは、すべて無駄ととらえてしまうのは行き過ぎではないでしょうか。