ずっと日本にいると意識することはないが、私自身も中国出張から戻った瞬間は、確かにそういう感覚がある。帰国して、空港で財布の中身を入れ替えるときに、ちょっとした安心感があったが、それは自分が日本人だからだと思っていた。

 在日中国人でさえ同じように、日本の紙幣を手にしたときに安心感を抱いていることに驚かされた。

 ちなみに硬貨について少し調べてみると、中国の硬貨はステンレスや銅合金などでできていて、手のひらに乗せてもまったく重みを感じないが、日本の硬貨は銅などでできており、中国の硬貨よりも重みを感じる。

 金融機関の関係者に聞いたところでは、中国の紙幣は日本の紙幣に比べて、市場に流通してから回収するまでの期間が比較的長いのだそうだ。手触りから推察して、おそらく紙質も違うだろう。

中国と日本で異なる
お金に対する意識

 本題に戻ろう。なぜ中国の紙幣は汚いのか。そして、比較すると、日本の紙幣はきれいなのか。

 経済発展の過程や成熟度も関係あるだろうが、私の記憶では、1970年代や80年代でも、日本のお金が汚かったという記憶はない。なぜなのか。

 中国人といろいろ語り合っていて、あるときふと気がついた。私が気づいたのは、日本では(家庭によって違いはあるだろうが)、「お金は大事なものだから、粗末に扱ってはいけない」と教えられ、紙幣はきれいに折り畳み、財布にきちんと入れて使うものだ、という教育や考え方がある程度浸透しているという点だ。

 日本人は、お金をある種「神聖なもの」だと考えているので、カバンにそのまま放り込むことはしないし、紙幣をむき出しで誰かに手渡すことにも抵抗がある(相手に対しても失礼)。そんな意識が私たち日本人の間にはないだろうか。