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グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

イノベーションに必要な
経営者の人間力

大西 俊介
【第3回】 2017年11月10日
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実力の足りなさを認める「謙虚さ」

 不連続の環境においても持続的成長モチベーションをどのように維持していくかは、大きな論点です。

 20代、30代、40代、50代と年齢を経て、成功体験を積むうちにこれがうせていく人もいれば、体力年齢のピークを超えてから成長意欲が逆に高まる人もいます。成長のドライバーはいくつかありますが、人間なので物欲・金銭欲もそれに当たると思います。ゆとり世代でシェアリングエコノミーに身を任せつつある人たちには、この欲が、もう少し必要なのかもしれません。

 リーダーシップの人材要件として考えた場合、これまで、地力のあるコンサルタントや若手と付き合ってきた中で、これまでに話してきたポイントと合わせてもう1点、近い将来に、より経営に携わるより器の大きなリーダーになっていくために必要なポイントがあると感じます。

 それは「実力の足りてない箇所においてそれを素直に認める謙虚さ」です。

 コンサルタントが取り扱うテーマはランクが上がるに応じて幅広く、複雑なものになって行きます。しかし、経営者として対面すべき課題はもっと幅広いものがあります。経験したことのない課題に直面し、うまく解決できなかった場合において、陳謝の仕方はコミュニケーション戦略の観点から、いろいろあるでしょう。大事なことは本人が、該当のポイントについて自分の力が足りていなかったことを受け入れられるかどうかだと思います。自らの不足を受け入れ、フォローすることによって次回は対応できるでしょう。

 こういったシチュエーションの中で他責にしがちなコンサルタントがいます。地力があるからこそそうなるところもあるのでしょうが、これでは成長は期待できません。また多様な課題をすべて1回目でクリアできるなんて人はいないのです。事の大小によりますが失敗は1度までは許されます。同じ過ちを2回犯すことは、許されないというのがビジネスの世界の暗黙のルールだと思っています。

 失敗を自責として受け入れられることが、長く持続的成長を続けられる大きな要因です。

 コミュニケーションとしての「謙虚さ」はこれとは別です。外資の場合は、自分の成果でなくても必要以上に経営者のスコープを広げてアピールしないといけないことも処世術として必要なことは言うまでもありません。

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大西 俊介
[インフォシスリミテッド 日本代表]

おおにし・しゅんすけ/1986年、一橋大学経済学部卒業後、同年日本電信電話株式会社に入社、株式会社NTTデータ、外資系コンサルティング会社等を経て、2013年6月より、株式会社NTTデータ グローバルソリューションズの代表取締役に就任。通信・ITサービス、製造業界を中心に、海外ビジネス再編、クロスボーダーな経営統合、経営レベルのグローバルプログラムの解決等、グローバル企業や日本企業の経営戦略や多文化・多言語の環境下での経営課題解決について、数多くのコンサルティング・プロジェクトを手掛ける。NTTデータグループの日本におけるSAP事業のコアカンパニーの代表として、事業拡大に貢献した。SAP2017年1月1日、インフォシスリミテッド日本代表に就任。著書に「グローバル競争を勝ち抜くプラットフォーム戦略」(幻冬舎)等がある。

グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

グローバル化とその揺り戻しともいえる保護主義が錯綜する世界のビジネス環境。そこで生き残る企業の条件を、外資系IT企業日本代表の立場で論考する。

「グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略」

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