「株価連騰」なのに誰も豊かにならない理由

 世界的な株高が続く中で、日本でも10月24日には、東証平均株価が1960年12月以来、57年ぶりの「16連騰」。11月7日は2万2800円台を回復し、約25年ぶりにバブル崩壊後の戻り高値を更新した。メディアは騒ぎ立て、景気拡大や雇用状況の良さも一段と強調されている。だが、なぜ多くの人々は豊かさの実感がないのだろうか。

日銀の緩和マネー、海外に流出
世界の「株価バブル」支える

 急激な株価上昇は、いまや実体経済とは乖離している。バブルである。だがかつてのバブルとは様相が違っている。貸し出しが伸びず、銀行経営が苦しくなっているのはその象徴だ。

 日銀の「異次元の金融緩和」が続き、マイナス金利に踏み込んだことによる超低金利のために貸付金利息収入が減少し、大手銀行は3年連続の減益を記録した。三菱UFJ銀行が店舗の最大2割程度の削減を検討し、みずほ銀行も今後10年で1万9000人分の業務量を削減する。多くの地方銀行も経営が苦しくなり、しだいに合併に追い込まれている。