変化の激しい環境ほど、弱者にチャンスがあるのはなぜか(写真はイメージです)

作家であり、金融評論家、社会評論家と多彩な顔を持つ橘玲氏が自身の集大成ともいえる書籍『幸福の「資本」論』を発刊。よく語られるものの、実は非常にあいまいな概念だった「幸福な人生」について、“3つの資本”をキーとして定義づけ、「今の日本でいかに幸福に生きていくか?」を追求していく連載。今回は「ビジネス戦略と幸福の関係」について考える。

弱者の3つの戦略

 自然界における生き物の戦略はビジネス戦略を考えるうえでも役に立ちます。

 じつはこれは、「生き物を比喩にビジネスを語る」ということではありません。生き物には40億年の長い進化の歴史がありますが、それは同時に「ナンバーワン」をめぐる激しい競争の歴史でもありました。そしてそのなかで、人間の知能で考えつくような「戦略」はすべて試されているのです。

 たとえば、弱者と強者では最適戦略が異なります。

「自分だけのニッチ」を見つけたとしても、そこに永遠に安住できるわけではありません。強者は弱者とたたかえば確実に勝てるのですから、その最適戦略は弱者が開拓したニッチに入り込んで自分の棲む場所を広げることです。

 これをビジネスに当てはめると、大企業がシェアを拡大するもっともかんたんな方法は、中小企業を模倣して彼らが開拓した新しいマーケットを奪うことです。しかしそうなると、弱者は滅びるしかないのでしょうか。じつはそうではなく、彼らには生き延びるための「弱者の戦略」があります。