やるぞ!モチベーションアップは英語が最適

 日本人は、グローバルコミュニケーションとは英語をしゃべることだ、と考えてしまいがちだ。しかし、相手をモチベートできないと、そもそもコミュニケーションにならないし、仕事が前に進まない。そのためには、日本人にコミュニケートする以上に、繊細なコミュニケートが必要になるということである。

「共通の目的を見出し、それに同意してもらって、自ら責任感を持ってもらって、モチベーションを上げて、“やるぞ”と思わせる。そういうコミュニケーションが求められるんです」

 井上氏自身、アメリカにいた3年間で、一番変わったのがこの姿勢だったという。

「それまで本当にシンプルな文化の中に暮らしていたんだと、はっきり気づかされました。日本人同士のコミュニケーションはラクなんです。アラインメントにも、エンゲージメントにも時間を費やさなくてよかった。でも、日本に戻ってからは、日本人の部下にもそれをやりました。やらないと自分が気持ち悪くて(笑)。やってみると、私も部下も、とても心地良く仕事ができたんです」

 日本クラフトフーズのトップになってからも、このスキルはもちろんフルに発揮されている。

「例えばタイの工場で、日本のガムを作るというプロジェクトを立ち上げたんですね。100%日本のクオリティで、タイでガムを作る。でも、タイの人たちにすれば、“どうして、そこまで”という声も少なからずあった。だから、これがタイにとってもいいことだし、日本にとってもいいことだ、というアラインメントとエンゲージメントが必要だったんです。日本の工場を見てもらったり、働いてもらったりもしました。今は本当に素晴らしいものができるようになったんですが、彼らがものすごく感謝してくれているんですね。事前に想定したサクセスがしっかり共有できていれば、一緒に喜びを分かち合えるんです」

 ちなみに井上氏、モチベーションを高めたり、リコグニションを与えるには、実は英語のほうが絶対にいい、と語っていた。英語は、うまく使えば、マネジメントに大きな効果を生み出せるツールでもある、ということだ。

 


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