経営コンサルタントの報酬はなぜ高い?

「なるほど。やっぱり、雇ったら高いんすかね?」

太朗さんは、初めて聞くコンサルタント業界の話に興味津々のようだ。

「安くはない。どうやって報酬を決めるか興味あるか?」

「はい」

戦略系経営コンサルタントの多くは、海外の名門の大学院に留学したような、いつクビになっても文句を言わないプロばかりなので、彼らを会社につなぎ留めようとすると、どうしても給料がべらぼうに高くなる。

それなりに腕がいいコンサルタントなら、数千万円の年収だ。

例えば、年収2500万円のコンサルタントで考えてみよう。

週休2日だとすると、1年間の稼働日は、365日÷7×5=約250日。

年収を稼働日で割ると、1日あたり10万円になる。

これに、「乗数(コンサルティング会社の格により3~10倍と幅は大きい)」と言われる数字を掛ける。

仮に5倍だと日当50万円だから、1日8時間勤務なら時給7万円弱だ。

しかも、3人で2、3ヵ月かかるプロジェクトなら、数千万円から1億円の報酬というのは普通の話だ。

耳をダンボにしたままだった営業マンも、報酬の話は初めて聞くらしく、驚きの声をあげた。

「ヒエ~、すごいですね」

「でも、利益1000億円の会社の利益を3%伸ばしたら、儲けが30億円増えるわけやから、それを考えたらそんな高くないやろ」

男は、こともなげに言った。