ところが、そこになぜか同校OBではない日馬富士、白鵬、鶴竜のモンゴル出身3横綱もいた。報道によれば鳥取城北高相撲部主体の1次会は和やかに終わり、同校関係者は解散。その流れで行った力士同士の2次会で事件は起きた。貴ノ岩にすれば1次会で顔を合わせた同郷の先輩であり最高位の横綱たちに2次会に誘われれば断れないだろう。そこで暴行を受けったことも親方に報告し辛かったに違いない。が、症状は重く、親方が知ることになった。貴乃花親方にしてみれば、関係のないはずの横綱たちが同席していることは想定外であり、それが態度を硬化させる要因になったともいえる。

 ともあれ、ここで図らずもクローズアップされたのが鳥取城北高相撲部の強さと育成力だ。現役では前述した4人の人気力士に加え十両力士の山口と5人の関取がいる。2010年まで大関として活躍した琴光喜も同校OBだ。高校相撲では全国大会が年に6回行われるが、鳥取城北高はどの大会でも上位に進出し、最も重要な大会である全国高校相撲選手権(8月)では今年、団体戦で準優勝。個人戦では同校のモンゴル人留学生アマルサナーが優勝した。ちなみにアマルサナーと決勝を戦ったのは、元横綱朝青龍の甥であるビャンバスレン(日体大柏)。高校相撲界でもモンゴル人が強さを見せているのだ。

 高校野球にプロを数多く輩出する名門校があるように高校相撲にも大相撲力士を次々と生み出す強豪校がある。ひと昔前、全国大会で強さを誇ったのは東京の明大中野高校。1980年代には全国選手権で4連覇を含む5回の優勝を果たしている。OBの力士としては今回、騒動の中心人物になっている貴乃花親方(中等部卒で角界入り)、その兄で第66代横綱若乃花の花田虎上氏(高等部中退で角界入り)、大関栃東などがいる。ただ最近は新興勢力におされ、全国大会で好成績を残すことはできない状態だ。

 明大中野とともに古くから全国のトップレベルの実力を示し、現在も強さを維持している高校もある。石川県の金沢市立工業高と熊本県の県立熊本農業高だ。金沢市立工業は全国選手権で1989年に初優勝、2014年には25年ぶり2度目の優勝を果たしている。25年もの間、優勝こそなかったものの金沢の強豪の座を守ってきたわけだ。OBには大関出島、関脇玉乃島らがいる。熊本農業は1995年に全国制覇をして以来、優勝はないが、強豪として大相撲力士を輩出してきた。OBには小結智ノ花、現役では関脇正代がいる。この2校と同様、古豪として伝統を守っているのは、青森の弘前実業高(OBには49代横綱栃ノ海をはじめ小結まで昇進した岩木山と高見盛がいる)、三本木農業高(OBに小結阿武咲=現役)、兵庫の報徳学園(OBに栃乃若)、長崎の諫早農業高(OBに小結両国)あたりだ。