この問題を取り上げることが合意できたとする。ここで注意すべき点は、「毎日ガチンコで行くと体がもたないから、力士間で星のやり取りが生まれる」といった話は「絶対に取り上げない」という暗黙の前提を置くことだ。これがハーバード流交渉術である。あくまで「適正なインターバルの観点から勝負の間隔を見直していこう」と話し合いを持ちかけるのだ。

 すると1つの着地点として「十五番はやめて幕内と十両の取り組みも幕下以下と同じ七番勝負にしよう」という案が出るかもしれない。これなら勝負と勝負の間に1日分の休みがとれる。故障しかけた力士が連日の勝負で怪我をさらに悪化させる悪循環も減る。

こうすれば成功する!
相撲改革「3つのポイント」

 ただそうすると、別の問題が出てくる。たとえば「七番にしてしまうと上位と当たらない平幕の優勝者が出てくる」という問題だ。しかし、それも解決策はある。たとえば最終的に、以下のような改革案にまとめてみてはどうだろう。

(1)大相撲の本場所は1日おきの七番勝負に改める。

(2)前頭以下は平幕として三役以上と番付を分ける。本場所では平幕同士の対戦による平幕優勝と、三役以上の対戦による幕内最高優勝にクラス分けを行う。

(3)三役の勝ち越しラインは5勝2敗とする。

 つまり対戦の数が減る分だけ、上位の力士の数を減らす。だからルール(2)のように階層をもう一段分ける。しかし、そうなると平幕の地位が下がる。そこでルール(3)を入れて、ランクの新陳代謝が起きやすいようにする。4勝3敗の関脇は小結に、小結は平幕に陥落する。逆に陥落する三役が増えれば、平幕上位で6勝を挙げれば確実に三役に上がれるだろう。

 さて、このような改革を行うと不思議なことが起きる。「ガチンコ」になるのだ。相撲で「7敗まではできる」と思うと、こっそり星の貸し借りが行われるような土壌が生まれる可能性がある。「2敗しかできない」となったら、貸し借りの星の重さが全然違ってくる。これが大相撲におけるハーバード流交渉術の神髄である。

 貴乃花親方の次を狙う若手の親方はぜひ、この交渉術を勉強してみてはどうだろうか。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)