子供の学力を上げる最も有効な方法とは?

 中学校と高校の数学の授業で、生徒たちを対象にある実験が行われた。

 半数の生徒は難しい問題をさんざん考えた後に教師からヒントを与えられたが、残り半数の生徒は教師からすぐにヒントをもらった。

 その結果、問題と格闘した生徒のほうが成績が良かったという。この研究の著者は、研究で発見したことを実にシンプルかつ正確に言い表した。

「スキルは苦悩から生まれる」

「人間による教育はなぜ一部しか功を奏しないのか?」(Why Do Only Some Events Cause Learning During Human Tutoring?)と題する調査でも、同じ結果となった──結局のところ、教師は生徒に答えやヒントを早く教えすぎるのだ。

 別の大学の物理学の指導システムを調べたところ、「先生がどう説明しようが、生徒は行きづまるまで考え込まないと、めったに学習しない」ことがわかったという。

 他方で、もっとも効果的な指導方法には共通点があった。生徒が音を上げるまで教えないのだ。「成長は限界ぎりぎりのせめぎ合いのなかから生じる。スキルは苦悩から生まれる」というわけだ。