忙しくてもHow are you?
反論もマイルドにする礼儀作法

 経営陣たちの素晴らしさに触れられる機会は多いという。トップエリートたちに、人間としての深みがある。

「経営会議のために本社に行っても、みんな忙しいのに、会いたいというと必ず時間を作ってくれる。しかも、10分だけ時間をもらって、10分しかないから、と私が急ごうとすると、“まあまあ、ところで日本の天気はどう?”と言う。「How are you?」からしっかりやろう、というわけです。大人なんですよ。人間としてちゃんとしているんです」

 どのようにして人としての信頼を獲得していくのか。学ばせてもらえることが、多々あると語る。

「意外に知らない人もいますが、英語にも礼儀作法があります。例えば、反対意見を言ったり、非難をする時にも、まず相手の発言に配慮することが大切です。“その意見もいい。でもね~”と言う。ただ英語をしゃべろうとすると、こういうことを忘れる。若いときの私がそうでした。ちょっと英語ができるようになると勘違いしてしまうんです。西洋人だから、どんどん意見すればいい、と。でも、メールを見ても、外国の人たちはとても配慮します。強い反対意見であった場合でも、とてもマイルドに書いてくる。前後をやさしく包んでいる。そういう配慮が必要なんです」

 英語には敬語がない、と考えている人も少なくない。だが、世界のどこにも、目上の人に敬意を示せないような言語はない、と語っていたトップもいた。日本語の“敬語”のようなものでなくても、敬意を表すことができる。こうした細かなところから、信頼は培われていくのだ。

 次回は、グローバルコミュニケーションからさらに踏み込んで、グローバル人材について、外資系トップの言葉をご紹介していきたい。

 


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