伝統的に“所有”に
こだわってきた日本人

 日本人は、これまで“広い利用権”よりも“狭い所有権”に固執する傾向が強かったと言われる。

 誰にも邪魔されずに、自分だけが権利を独占し、自由に使うことを好んだ。海に囲まれた地理的環境の中で、“自分だけの”空間、モノを確保し、生活の基盤を確保しようとする生活習慣=文化は強くなりやすかったのだろう。

 一方、海外の知人の一人は、「自分の国では住居は借りるのが普通だが、日本では不動産を所有することが重視される」と不思議がっていた。

 国際的に見ても、わが国の家計に占める住宅ローンの割合は大きい。多額の資金を借りてまで住居を手に入れようとする考えは、社会でモノや資産を所有する権利が重視されてきたことの顕著な例と言えるだろう。

 不動産などの所有を実現するために、日々のお金の使い方をはじめ、人生を設計してきた人は多い。それが、“勤勉”、“倹約”といった日本の文化を支えた。“もったいない”というわが国ならではの価値観も、「自分のものだから大切にする」という意識の表れだ。

 資産を所有すれば、所有権の範囲内で自由にその資産を活用し、処分することもできる。経済が成長し、所得も増加する環境であれば、かつての“三種の神器”(白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫)のように、従来なかった革新的なものを手に入れ、生活水準を高めることができた。

 しかし経済が成熟すると、家電、衣服などあらゆるものが社会に出回る。また、1990年代以降は、賃金が増えづらい状況が続いている。