子どもの単語は「ピクチャーディクショナリー」が最強

子どもが母語を習得する場合、状況と単語の対応づけは、日々の生活空間のなかでランダムに進んでいきますから、単語は「必要なもの順」に自然と学習されていきます。

一方、外国語の習得となると、身近にネイティブスピーカーがいたりしない限り、なかなか母語のようなわけにはいきません。状況と単語を適切に対応づけて、しかもそれを何度も反復できるようなツールが必要になります。

そこでおすすめなのが、ピクチャーディクショナリーです。
大きな絵のなかにさまざまな事物が描き込まれており、それぞれに英単語が印字されているものなどは、子どもの単語学習にはうってつけです。

一つの景色のなかで、実際のモノを目で見ながら、それの名前を声に出す――。これが最も原始的なボキャブラリーの身につけ方です。
親子でイラストを指差しながら単語を発音してもいいですし、「It's a cat. It isn't a cat. It's a dog.」のように簡単なセンテンスを口に出す練習をしてもいいでしょう。いずれにしろ、最初からすらすらと読んだり、言えたりする必要はありません。

これを踏まえれば、さきほど「おすすめしない」と言った単語カードにも、有効な使い道はあります。たとえば、カードを何枚か使って一つの「おはなし」をつくるのは、いいアイデアでしょう。要するに、無関係な単語をバラバラに学ぶのではなく、何か共通のテーマにひもづけるわけです。

J PREPのキッズクラスでは、たとえば「Saint Patrick's Day」について先生が話す日には、「green」「Ireland」「shamrock」といった関連語のカードを見せながら、単語を声に出したり、これを使ってゲームをしたりしています。
念のために解説すると、アイルランド発祥である聖パトリックの祝日には、シャムロックという植物や、緑色のものを身につける風習があります。こんな外国の一風変わった祝日の話とセットで覚えれば、馴染みのない単語も子どもたちの記憶には定着しやすくなります。