「子どもに英語をマスターしてほしい!」――そんな願いを持っている親御さんは少なくないだろう。しかし、そんな人でも「英語がペラペラになればそれでいい」などとは思っていないはず……。むしろ、本当にわが子に身につけてほしいのは、世界のどこでも生きていける頭のよさ、つまり「本物の知性」なのではないだろうか。
実際、応用言語学や脳科学、教育心理学などのアカデミックな研究では「外国語学習の機会が、子どもの知力やIQを高める」といった知見が蓄積されつつあるという。
いま、こうした科学的根拠(エビデンス)に基づいた指導によって、子どもたちの英語力を着実に伸ばし、人気を集めている英語塾があるのをご存知だろうか。元イェール大学助教授の斉藤淳氏が代表をつとめるJ PREPだ。
本連載では、同氏の最新刊『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語――わが子の語学力のために親ができること全て!』から、一部抜粋して「ほんとうに頭がいい子」を育てるための英語学習メソッドを紹介する。
「初めて目にした単語」でも読めるようになる
お子さんが初めて文字を覚えたときのことを思い返してください。
子どもは街やお店の看板に書かれた文字を、声に出して読むようになります。「ママ、『うなぎ』って書いてある!」とか「お父さん、『パチンコ』って何?」などと子どもがいきなり言い出して、驚いた経験のある親御さんも多いのではないでしょうか?
これは、それぞれの文字が持つ音を、子どもが理解している証拠です。このとき、子どもの脳は次の3つのプロセスを処理しています。
1 「文字」を視覚でとらえる
2 その文字に対応する「音」を再構成する
3 その音を実際に「声」に出す
前回の記事でご紹介したフォニックス学習をした子は、英語でも同じことをします。その結果、初めて目にした単語でも、文字から音を自分で再構成し、発音できてしまうのです。
一方、「ABCの歌」のアルファベット読み、「エービーシー」のようなカタカナ読みしか知らない子は、2の「文字に対応する音を再構成するステップ」で必ずつまずくので、単語の読み方はいちいち「丸暗記」するしかありません。その結果、フォニックス読みを覚えた子と比べると、圧倒的な差がついてしまうのです。
わが家の息子も3歳からフォニックスをはじめました。再度アメリカを訪れた際、車でハイウェイを走っていたところ、追い抜いていく救急車を指して、「Dad, an ambulance is over there!」と叫びました。ご存知かもしれませんが、アメリカの救急車には、鏡文字で「AMBULANCE」と印字されています。この年齢の子どもは、文字を書くときにも鏡文字になることが多いので、読むときにもそれが気にならなかったのかもしれませんね。
いずれにしろ、当時4歳だった彼は、この単語の意味はおろか、音も知らなかったはずですから、文字の順番どおりに声を出しただけなのでしょう。
フォニックスのメカニズムからすれば当然なのですが、とても驚いた記憶があります。