想定外の長生きから被るダメージは大きい

 いきなり「人生100年」と言われても実感がわかない人も多いでしょう。そこでオヤジたちの4人に1人の割合で起こり得る人生90年を前提に将来設計をした場合、どのくらいの資金が必要なのか、まず考えてみましょう。ゆとりある生活に必要な毎月の資金が34.9万円(出所:生命保険文化センター)、平均的な厚生年金額が22.1万円(夫婦二人分、妻が専業主婦の場合、平成29年度)とすると、差額の12.8万円がゆとりある生活のために毎月追加で必要な資金であり、その25年分(65歳から90歳まで)の3840万円が定年退職する65歳までに蓄えなければならない金額となります。これだけでも相当大きな金額ですが、それでもリスク管理は十分ではないかもしれないのです。

 人生90年と設定したときには、「俺は現役時代に不摂生だったし、そんなに長生きしないよ」と思っていたかもしれませんが、幸か不幸か、医学が日進月歩で進化している今、例えば75歳頃に「まだ元気だから、もっと長生きするかも」と認識し、人生90年から100年に計画を変更したとします。このとき、毎月引き出せる金額は、なんと12.8万円から7.7万円にまで、約5万円も下がってしまいます。80歳で気づいた場合には6.4万円に、85歳で気づいた場合には4.3万円にまで引き出し可能額が下がってしまいます。老後の人生に大きなインパクトがあることが容易に想像できますよね。しかも、75歳以上になると必要な医療費が急激に上昇し、しかもそれは年々高くなる傾向があります。デフレやディス・インフレの状態が続いているにもかかわらず、です。これには医療の高度化、薬の高額化などが影響しているものと思われます。さらには、社会保障費の削減の話も出ており、これが現実のものとなれば高齢者の医療費の負担割合は増加するでしょう。つまり75歳や80歳の時点で「もっと長生きしそうだ」と考え、人生戦略を変更しても、医療費の高騰に耐えられなくなる可能性があるのです。当初から人生100年を前提として計画したほうがリスク管理上は優れていることになります。