プラス面のみ強調する「一面提示」
マイナス面まで言及する「両面提示」

 プロセス3:「相手を知る」【前編】でも簡単に触れましたが、私たちが説得をする場合、その内容には多くの側面があります。それを説得する側にとって都合のよい側面と悪い側面に分け、都合のよい側面のみを強調するやり方は「一面提示」、都合の悪い面も含めて説得するやり方は「両面提示」と呼んでいます。

 たとえば新商品を売り込みたいとき、プラスの面のみを強調するのは「一面提示」であり、マイナス面にも言及するのが「両面提示」です。物事にはすべて二面性があることは少し知的な人ならばだれでも知っています。「両面提示」をすることは、相手の知性を認めてその上でどちらか一方を薦めることになります。

 「両面提示」をすることによって、よい面も悪い面もあることを相手に教え、つよい面のほうに結論を導くという説得の仕方は、悪い面に攻撃をかけてくるその後の逆説得の議論に対して一種の免疫をつくると考えられています。

 「一面提示」が効果的であるのは、

・相手が物事の判断のつきにくい幼少年のとき
・教育水準が低いとき
・説得しようとする内容に詳しくないとき
・説得の要件・内容が単純なとき
・説得内容がもっともだと思われるとき、
・受け手が送り手の立場に賛成であるとき
・あとで受け手が逆説得にある可能性がないとき

です。「両面提示」が効果的である場合はちょうどこの逆になります。

 ただし、受け手の教育水準が上がっている今日、一般的には「両面提示」をしたほうが送り手は知的かつ公平で信頼に値すると受け手にみなされ、効果的な場合が多いでしょう。つまり、マイナス面があることを承知した上で送り手がある特定の立場をとっていることを受け手に知らせることは、送り手が受け手を信頼して受け手の自主性を尊重していることを意味しています。

あえて欠点を見せることで
相手の信頼を得られる効果も

 ここで問題が1つあります。「両面提示」をする場合の議論の提示順序をどうするかということです。

 そこでまずは提示順序について、次の3つの方法を見てみましょう。