「教え役」ではなく「学友」になろう

とはいえ、決して親が英語を“教える”必要はありません。古い教育の常識を持ち出して、頭ごなしに間違いを指摘するのは絶対にやめましょう。ともに英語を学ぶ仲間として、子どもと「併走」していただければそれで十分です。

とくに未就学児~小学校くらいのお子さんであれば、親子でフォニックスの練習をしてみたり、英語のアニメを見てみたり、歌を歌ってみたり、絵本の読み聞かせをしたり、ちょっとしたゲームをしてみたり……一緒にできることはたくさんあります。

息子が幼稚園に通っていたころ、僕ら親子はいつもこんな遊びをしていました。

Hey Dad, I spy with my little eye, something that begins with B!
(ねえお父さん、"B"ではじまるものを見つけたよ。なーんだ?)

イニシャルだけをヒントに出して、出題者が「こっそり見ているもの」を当てるゲームです。いつもは僕が出題者だったのですが、いつのまにか息子は「spy with one's little eye(こっそり盗み見る)」という言い回しをマスターして、僕に出題してきました。

(僕) Hmmm, is it a bird?(birdかな?)
(息子) No, it's NOT a bird. Can't you see it?(ブー、違うよ。わかんないの?)

僕が答えを言い当てられずにいると、息子は大きな木を指差して「It's a bottle! There's a bottle on that tree.(bottleだよ。あの木の上にボトルがあるでしょ?)」と言いました。その先を見るとたしかに、誰かが放り投げたのか、木の枝にペットボトルが引っかかっています。子どもは普段から大人が見ていないところをじつによく見ていますよね。

子どもが思春期に入れば、親子のコミュニケーションは一筋縄ではいかなくなるかもしれませんし、過度に勉強に介入することもおすすめしません。子どもの成長につれて、親御さんが果たす役割は環境の整備へとシフトしていきますが、それまではぜひ「学友」として併走することを意識していただければと思います。

(本原稿は斉藤淳・著『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』から抜粋して掲載しています)

※注
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「世界最高の子ども英語」専用サポートページ
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【著者紹介】斉藤 淳(さいとう・じゅん)
J PREP斉藤塾代表/元イェール大学助教授/元衆議院議員。
1969年、山形県生まれ。イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。研究者としての専門分野は比較政治経済学。ウェズリアン大学客員助教授、フランクリン・マーシャル大学助教授、イェール大学助教授、高麗大学客員教授を歴任。
2012年に帰国し、中高生向け英語塾を起業。「第二言語習得理論(SLA)」の知見を最大限に活かした効率的カリキュラムが口コミで広がり、わずか数年で生徒数はのべ3,000人を突破。海外名門大合格者も多数出ているほか、幼稚園や学童保育も運営し、入塾希望者が後を絶たない。
主な著書に、『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』(ダイヤモンド社)のほか、10万部超のベストセラーとなった『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA)、『10歳から身につく問い、考え、表現する力』(NHK出版新書)、また、研究者としては、第54回日経・経済図書文化賞ほかを受賞した『自民党長期政権の政治経済学』(勁草書房)がある。