1.イメージする

 目を閉じ、プレゼンテーション中の場面をイメージしていきます。

 話しているときの姿勢はきちんとしているか、自分の声はきちんと出ているか、視線の動きは自然であるか、そのとき聴衆はどのように見えるか、彼らはどのように座っているかなど、頭の中でひと通りプレゼンテーションを行い、聴衆がどのように反応するかを想像してみます。

 このとき忘れてはいけないのは、その場面場面で自分がどう感じるかといった感情もいっしょに想像することです。このイメージ上での感情体験が本番でも状況に落ち着いて対処できる心構えをつくってくれるのです。

2.第三者視点でイメージする

 次に視点を自分中心から第三者のものへと変えます。

 プレゼンテーションの場面であれば、今度は視点を聴衆のひとりに置き換えて、スピーチしている自分を客観的に観察する立場でイメージしていきます。ムダな動きをしていないか、声量は充分か、わかりやすい説明になっているか、説得力はあるかなどです。

 プレゼンテーション以外に相手の影響は関係なく、自分自身のその日の調子だけにかかっているようなイベントもあります。その場合の視点は、自分を俯瞰して見ればよいのです。テレビカメラで自分を少し離れたところから映しているようなイメージです。

 このように自分視点、第三者視点のリハーサルを行い、気づいたことが出てくれば、本番のパフォーマンスや内容にフィードバックしていき、完成度を高めていけばよいのです。

3.最悪のケースを想定する

 そして、さらに万全を期すために行ってほしいのが、イメージの中での「最悪体験」です。

 本番で起こりうる最悪のケースを想定し、それをメンタルリハーサルの段階で経験しておくというものです。

 プレゼンテーションの例であれば、聴衆の前に立った瞬間、緊張で頭が真っ白になってしまったとか、途中でマイクが故障して音が出なくなってしまったとか、聴衆から非常に難しい質問を受けたり厳しい要求をされたとか、そのような場面です。

 これらをイメージの中で落ち着いて対処できるようにしておくのです。さらに自信を持って本番に向かうことができるようになります。

4.アンカーをつくる

 もう1つメンタルリハーサルの段階で準備しておいてほしいことがあります。

 それは「アンカー(錨)」をつくっておくことです。アンカーとは特定の言葉やアクションのことです。

 たとえば、メンタルリハーサルで最悪体験のときに「自信、自信」や「できる、できる」などのポジティブな言葉を発しながら、うまく対処できるイメージを繰り返すのです。

 これは言葉でなく、「こぶしを握る」とか「親指を立てる」などのアクションでもOKです。これをつくっておけば、本番でこれを心の中で唱えたり、ポーズをつくったりすることによって、リハーサルで生まれた自信を呼び起こすことができるのです。

 このようにメンタルリハーサルをしておくことにより、初体験の対応に脳のリソースをとられなくて済むので、目の前のタスクに最高の集中力を発揮できるのです。