2013年度から導入されていた制度だが、国内の設備投資を増やす条件を加えた一方で、賃上げについては、従来、給与支給総額が毎年、基準年(2012年度)を一定割合以上、上回っていることが必要だったが、今回の改正では平均給与を前年度から3%以上増やすという条件だけにし、税額控除も12%から20%に増やした。さらに中小企業も、賃上げ幅などの条件を大企業より緩くして、減税が受けられるようにした。

「利用企業が1700社程度で頭打ちになり“息切れ感”があった。基準年度を上回って給与総額を毎年、増やせる企業は限られていたからだ。しかし今回の改正で、これまで賃上げをしていなかった企業もやろうという気になって、裾野が広がるはず」と財務省の主税局幹部は言う。

減税のやり方まで
官邸から強い圧力

 安倍首相が経団連の榊原定征会長に「3%」という数値目標を掲げ異例の賃上げ要請をした昨年10月の経済財政諮問会議が、改正に向けて動き出した“表向き”のスタートだった。

 しかし水面下では、新年度予算に盛り込む新政策作りが始まった昨年6月頃から、官邸の首相秘書官らから「指示」が飛んでいた。

「消費を増やすような強力な“玉”はないのか」「今ある制度でももっとブラッシュアップができないのか」

 官邸からの“圧力”は例年になく強かったという。

 減税のやり方でも、官邸からは税額控除ではなく、賃上げ企業には低い法人税率を適用するなどの“意向”が伝えられてきたという。

「税率そのものを下げる方が分かりやすいし、アピールできるからということだった。だが、そんなことまでしたら税制が歪んでしまう」と党税調の幹部は憤る。

 政府が、ここまで民間企業の賃上げに深入りするのはなぜなのか。