

ガチャからは様々なアイテムを手に入れることができるが、ゲーム中で目立つことができたり、戦闘で有利になるようなアイテム(レアアイテム)の登場確率はかなり低く設定されている。
そのため、ソーシャルゲームでは、自分の好きなアイテムが出るまで高額のお金を支払い続ける人も少なくない。それこそ100回以上ガチャを回すユーザーもいるほどで、この「ガチャ」でユーザーにお金をいくら払わせるかに、業界関係者は苦心しているそうだ。
コンテンツ産業に詳しい小山友介・芝浦工大准教授(経済学)は「定価が決まっているパッケージだと、全員一律の料金になるのに対して、ソーシャルゲームでは、アイテムあたりの課金にすることで、その人が払ってもいいと思う最大金額まで払ってもらう価格差別戦略が採用されています」と語る。
小山准教授は、その仕組みをグラフを使って詳しく解説してくれた。
「価格差別戦略の考え方を図にすると、右図のようになります。図にある直線は、経済学でおなじみの需要曲線です。需要曲線は『ある価格のときに買ってくれる人数の関係を示したグラフ』ですが、別の言い方をすれば『払ってもいい上限額が高い人から順に並べたグラフ』と見ることもできます。
パッケージゲームの場合には、同じ価格で売るので、払ってもいい上限額≧パッケージの価格となる人だけが購入し、売上はパッケージ価格×購入人数となります(図の青い部分)。一方、ソーシャルゲームの場合、払ってもいい上限額まで払ってもらえる仕組みが完成しているので、売上は需要曲線と座標軸で区切られた三角形全体(図の赤い部分)となります」
なぜ、そんなことが可能なのだろうか。松本芳之・早稲田大教育・総合科学学術院教授(社会心理学)は、「この状況を心理学的に説明するならば、段階的要請法(Foot In The Door Technique)が適しています」と話す。