「子どものスマホ害毒」を訴えたアップル大株主に日本人が学ぶこと米国でアップルの大株主である2つのファンドが、同社へスマホの子どもに対する悪影響に警鐘を鳴らす公開書簡を提出した。iPhoneを発売する企業の大株主の行動として、注目に値する photo:DW

親が子どもを適切に管理すべき
大株主がスマホの悪影響を指摘

 日本ではあまり話題になっていませんが、米国では1月6日にアップルの大株主である2つのファンドがアップルに公開書簡を提出しました。その内容があまりに正論であり、この行動から日本が学ぶべき点もあると思いますので、今回はその内容を紹介したいと思います。

 この公開書簡を提出したのは、米国のアクティビストファンド(物言う株主)のジャナ・パートナーズと、全米第2位の公的年金基金であるカリフォルニア州教職員退職年金基金(Calstrs)です。

 両者でアップルの株を20億ドル分も持っているのですが、その大株主がアップルに対して、専門家や著名人(ミュージシャンのスティングなど)と連携した上で、スマホは脳が発達過程にある子どもに対して大きな悪影響を及ぼす懸念があるのだから、iPhoneとiPadの製造者であるアップルは、親が子どものスマホ利用を適切に管理できるようにするのを手伝うべきだと主張しているのです。

 この公開書簡の内容を簡単に紹介しますと、まずスマホの子どもに対する悪影響を以下のように具体的に羅列しています。

・米国のティーンエイジャーは平均して、10歳で初めてスマホを入手し、電話やテキストメッセージを除いて1日平均4.5時間以上もスマホを使っている。

・ティーンエイジャーの80%近くが1時間に1回はスマホを使っており、半数以上が“スマホ中毒”にかかっていると感じている。

・ある大学が2300人以上の教師に調査をしたところ、75%以上が生徒の勉強に対する集中力が低下していると回答した。

・1日に5時間以上スマホを使っているティーンエイジャーは、スマホ利用が1日に1時間以下のティーンエイジャーと比べて71%も高い自殺のリスクを抱えている。

・スマホやパソコンを使いすぎている子どもほど、眠りが浅くなっている。

・デジタル・デトックス(スマホ、パソコン、ネットといったデジタルが何もない環境で一定期間過ごすこと)を経た子どもの学業のパフォーマンスは向上している。