400字詰めの原稿用紙なら、1000枚をメドに書いてみる

  本番では、
  「それでは、1分ぐらいで、自己紹介してください」
  というふうにオーダーされるから、そう言われたら、1分バージョンでやればいいのだ。
  なかには、「30秒用で作ったけど、2分で話そうと思ったら時間が余ってしまった」という困った人もいる。
  そういう人は、まず24時間話すだけのネタを探すこと。
  400字詰めの原稿用紙なら、1000枚をメドに書いてみることだ。

  えっ? そんなに書けるわけがないと言うかもしれないけど、君自身が生きてきた二十何年間にあったことでもなんでもいい。とにかく、100枚書いてごらん。そうすると、きっと言いたいことが見つかってくるから。
  A君は「100枚も書けないけど、50枚くらいだったら書けるかもしれない」と言った。
  B君は「100枚めざして頑張ったけど、34枚でいきづまった」と言った。
  この場合、内定を勝ち得るのはB君のほうだ。
  なぜなら、A君は書きもしないで、想像だけでものを言っている。
  B君は実際にやってみている。この違いなのだ。

  『メンタツ』を読んで、「なるほど」とうなずくだけで、実際にやってみない人と、実際にやってみる人には大きな差がつく。
  「わかった。やってみよう」と思うだけの人は、絶対通らない。
  100枚書くのは大変だ。抽象的なことでは100枚は書けない。そうなると、必ず具体的になってくるはずだ。100枚書いてみる意味はそこにあるのだ。

  その話だったら24時間かけても話しきれないという話を、30秒に凝縮するのだ。
  30秒ですんでしまう話を考えろと言っているのではない。
  「とりたててたいしたこともしてないし、さりとて、これからやりたいということもない」
  という人はどうすればいいのだろうか。
  彼らは、記憶を失ってしまってると言ってもいいくらいだ。

  『メンタツ』は君たちが失った記憶を取り戻す手伝いをしているのだ。
  自己紹介と志望動機のうち、難しかったら、志望動機は後回しにして、自己紹介からとりかかろう。
  今まで何をしてきたか、とにかく思い出すことだ。
  何もやってこなかったのではなくて、やってきているのに、ただ忘れてしまっているだけなのだ。

  思い出すというのは、別の言い方をすれば、自分を見つめるということだ。
  これは、資料を読んだりすることより、エネルギーがいる。
  だから君たちは、楽な資料集めに血眼になってしまうのだ。
  そして、今までしてきたことをとことん突きつめていけば、志望動機は必ずその中に隠されている。
  本当にやりたいことを、今までかけらもやってこなかったということはありえない。
  なんらかの形で、すでにやりたいことのかけらを、無意識のうちに君たちは始めているのだ。たぶんそれは、「こんなことをやってないで、勉強しなければ」と後ろめたい気持ちを持っていたことに違いない。
  それが君たちのやりたいことなのだ。
  やってみなければわからないことなんて、やりたいことでもなんでもない。
  やりたいことは、もう既にやってしまっているのだ。

自己紹介と志望動機を、それぞれ150字で書いてみる。
その前に、100枚分の自己紹介を書いてみる