ひと月後、今度は友人から電話がありました。
奥さんの体調が急に悪くなって入院したというのです。しかも検査の結果、奥さんの病気が白血病だとわかったということでした。
奥さんの白血病は治療をすれば治るものだということでしたが、医師からは「とにかく本人の体力しだいで、危ないかもしれない」とも言われたのでした。
この奥さんが入院した病院のそばには、食事のできる店が2軒だけありました。
それは、カレー屋さんとトンカツ屋さんでした。
これを知って奥さんは、あの夢を思い出し、そしてわかったそうです。病はカツカレーなんだと。だから、この病を受け入れないと治らないんだと。
これがご神仏の不思議なところで、本人にはすべて理解できるのです。
この後、奥さんは無事に病から回復され、元気にされています。
もし、自分でお参りした経験が思い浮かばなくても、気落ちしないでください。
あなたの両親や祖父母、ご先祖さまの中には、必ず信心深い方がいたはずです。その方が過去につないだご縁が子孫も守ってくれています。
同じご神仏はつながっている
また、たとえばあなたが昔、お地蔵さまを祀ったお寺を訪れ、その数年後に別のお地蔵さまにお参りする機会があったとしたら、そのお地蔵さまには「初めまして」ではありません。
お地蔵さまは、あなたのことをちゃんと覚えていて『あ、あの時の……』と思い出してくださいます。
同じ「お地蔵さま」を祀っていても、A寺とB寺では別の仏像に見えるかもしれません。でも、お寺にお祀りしてある仏像はすべて、「開眼供養」をしています。開眼供養とは、単なる物体である仏像に仏さまを招き入れ(勧請)て、その霊験を宿らせることです。
表面的には別のお地蔵さま(仏像)に見えても、その奥では、同じお地蔵さまの働きにつながっています。
ですから一度でもどこかのご神仏にお参りしたら、その同じご神仏とのご縁がきちんと結ばれるのです。
私にはこんな経験があります。
まだ仏教に興味をもち始めたばかりの頃のこと、私は日々、観音経をあげていました。
近くにあったお寺の観音さまにお参りした日に、夢を見ました。
その夢の中で私は、僧の姿をした観音さまに「お前はまだまだ修行が足りぬ」というようなことを言われたのです。
その言葉に対し、私は大胆にもこう答えました。
「人皆仏性あり。仏性に優劣なし!」
それから10年くらい経ち、私は九州のあるお寺にお参りしました。そのお寺には観音さまが祀られています。
何気なく、そのお寺の掲示板を見た私は、思わずハッとしました。
そこにはこう書かれた紙が掲示されていたのです。
「人皆仏性有りと言えども磨かずば表れず」
10年の時と場所を超えて、観音さまと問答させていただいたように感じた出来事でした。