職場でカラオケに行った際に、女性上司(50代だろうか)が、小林明子さんの「恋におちて」を歌った場合、歌詞の「ダイヤル回して、手を止めた〜」の部分の意味が分からない若い社員が、既に多数いるのではないだろうか。

 さて、銀行業界では現在、「RPA」(Robotic Process Automation)と総称される、人がマウスやキーボードを使って行うような入力操作を自動化するソフトウェアロボットの活用が進みつつある。

 RPAは、指示に基づいて定型業務を行うロボットなのだが、これだけでも銀行のルーティンワークへの効果は絶大だ。また、これと学習機能のあるAIを組み合わせると、銀行の支店業務のほとんどがソフトウェアとロボットの組み合わせで可能になることが想像に難くない。印鑑の照合も、本人確認も、既に機械の方が正確になりつつある。

 まじめで堅い銀行業界は、これまで仕事を定型化してマニュアル化してきた分、ソフトウェアとロボットよる仕事の置き換えが他業界よりも容易だろう。また、人件費が高い分、置き換えによるコストダウン効果が大きい。職員が常駐し、顧客の相手をするような支店は、固定電話の設置台数以上のスピードで減っていく可能性がある。

 スマートフォンによる固定電話の駆逐に相当しそうな“分水嶺”は、仮想通貨やブロックチェーンの技術を利用した決済が、銀行口座と無関係にできるようになる段階だろう。これまで、資金の決済を通じて銀行が持っていた顧客の経済行動に関わるデータが、銀行が持つ情報の“縄張り”から流出してしまうからだ。

 銀行業界、金融庁、日銀などが協力して、銀行口座と結びついた仮想通貨を普及させる可能性はある。しかし、ブロックチェーン自体のデータ改竄に対する強度は強固なので、銀行以外の主体によるより使い勝手のいい仮想通貨に、取引の“主役”を取られる可能性が十分あるし、競争相手は国内だけでなく海外にも存在する。何らかの法整備などによって、仮想通貨ビジネスの中で銀行を生き残らせようとする方向性はそもそも筋悪だし、うまくいくとは思えない。

 そしてやがては、信用の供与自体が、個人や企業などの間で直接的に行われるようになるだろうし、預金に代わる運用を個人が利用する観点では、「分散融資」を行ってリスクを低下させて安定運用するようなプログラムがあっておかしくない。銀行業務の中核はこうして、ソフトウェアに置き換えられていくに違いない。

 筆者は、特に技術知識に詳しいわけではないし、想像力が豊かだとも思っていないが、現在知られている程度の知識でも、銀行業にはこのような未来が見える。