そしてこれは、他人、特に金融機関には決して「相談」しない方がいい性質の問題だ。自分の経済情報をわざわざ渡して、加えて余計なセールスを受けるリスクを冒すのだから、金融機関の相談には近づかない方がいい。

 では、家計の分析や、リスク資産への投資額の決め方などを、人間ではなく、ソフトウェアやロボットなどに置き換えることは可能なのかが問題になるが、これは十分可能であるように思われる。

 つまり、こと資産運用に関して、FP(ファイナンシャルプランナー)、FA(ファイナンシャルアドバイザー)と名乗っている人たちのサービスは、ソフトウェアで十分(場合によっては「十二分」くらいに)置き換え可能だろう。これは、有望なビジネス分野の一つかもしれない。ただし、運用アドバイスのサービスそのものについては技術的なバリアが低いので、競争によるサービスの価格の低下がかなり早いことは覚悟する必要があるだろう。

ファンドマネージャーは必要か

 筆者が過去に関わった仕事の中で、個人的には好きなものの一つだが、ファンドマネージャーという職業は残るだろうか。

 主に、株式のポートフォリオ運用をイメージしてだが、これまでの資産運用業界でイノベーションと呼べるような大きな革新は、筆者の心証では、以下の四つであったように思う。

(1)ポートフォリオによるリスク分散の考え方(1950年代)
(2)インデックスファンド(1970年代)
(3)マルチファクターモデル(1970年代)
(4)ETF(1990年代)

 順に、(1)リスクとリターンと分散投資の考え方、(2)市場平均に投資するという有利なアイデア、(3)ポートフォリオのリスクを具体的に計測できるツール、(4)ポートフォリオを自動組成して売買する仕組み、ということになる。

 運用ビジネス先進国である米国にあっても、投資家は、最終的に中身の性質がはっきりしていて、安価に組成されているポートフォリオを部品として手に入れることができればいいのであって、高いコストを払ってアクティブファンドに投資してファンドマネージャーの判断に委ねることの不利に気づきつつある。近年、運用資金は、アクティブファンドからETFを中心とするインデックスファンドに流れつつある。