超長期の住宅ローンやインデックス投資は
時代に合っているか

 また90年度までの幸福な30年有余は、第1次オイルショック後の74年度を唯一の例外として、一度もマイナス成長の年がなかった時代でもあった。こうした超長期的に安定した成長経済のもとでは、ほとんどの企業が成長可能であり、また、それに合わせて勤労者の所得も右肩上がりで上昇していったのである(そういった時代の象徴の一つが、「所得倍増」という政治スローガンであった)。

 こうしたむしろ歴史的には持異な経済環境のもとで、たとえば終身雇用や年功序列賃金という労働慣行が形成されていったのであるが、それは90年度までのわが国経済社会にフィットした極めて合理的なシステムだったのである。

 ところが、91年度以降は一転して、マイナス成長の年が5回も登場している(93、98、01、08、09年度)。このような経済環境下では、たとえば勤労者の所得も、原則的には、「企業業績が向上すれば上昇、悪化すれば下降」、「同一労働、同一賃金」とならざるを得ない。

 したがって、年功序列賃金体系のもとでそれなりの合理性を有した30年や35年といった超長期の住宅ローンや終身保険等も、変転極まりない現在の経済社会下では、おそらくその賞味期限がとっくに過ぎ去っているのであろう。また、低成長を前提とすれば、(高成長を享受する)インデックス投資等のパッシブ運用にもあまり大きな期待は寄せられない。理屈からすれば、低成長時代の株式投資は、成長企業を選別するアクティブ運用にならざるを得ないように思われる。

 超長期の住宅ローンやインデックス投資等は、金融商品という土俵で考えた1つの例示に過ぎないが、このように経済社会の大きな変化が著しいにも係わらず、旧来の仕組みがそのまま温存されているところに、わが国経済が上手くいかない根本の理由があるのではないか。「(構造改革に向けた)時間が止まっている」、あるいは「世の中の変化のスピードに追い抜かれている」と言った表現が、より適切かもしれないが。