特に問題なのは、そもそも「納品期限」自体に間に合わず、そのまま廃棄されてしまう事態も珍しくはないことだ。

 実際に筆者も、納品期限に間に合わず、売れなくなり、24個入り20ケースの食品を“サンプル”として引き取ったことがある。輸入食品なので、船で運んでいるうち、海外と比べて短く厳格な日本の納品期限に間に合わなかったのだ。

 また、前日に納品した商品の賞味期限より、当日、納品しようとする商品の賞味期限が、1日でも古くなっていれば、たとえ賞味期間が1年以上ある商品であっても、小売店に納品することができない。これを「日付の逆転」問題と呼ぶ(あるいは日付後退品問題)。

 これにより、10トン以上の商品が宙に浮いてしまい、ある食品メーカーから相談を受けたこともあった。

 このように、恵方巻に限らず、食品や飲料は、消費者の目に見えている以外のところでもロスが発生しているのだ。

 もっとも、これら3分の1ルールについては、2012年より、農林水産省・流通経済研究所と食品業界が横断的に編成された「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」で、緩和に向けて動いている(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_3.html)。

ロスを減らして
売り上げを上げている事例

 では、ここで冒頭に問うた「食品ロスを減らすと売り上げは下がるのか」という問題について改めて考えてみたい。以下、各企業などでの事例を紹介する。

◎売り上げを1.5倍に伸ばしロスを減らした元気寿司

 2017年9月29日、あきんどスシローとの経営統合の協議開始について発表した元気寿司。回転寿司チェーンだが「回さない」タイプの店舗を2017年5月時点で全国86店舗まで増やした(2017年5月10日付朝日新聞の記事より)。従来型の「回す」型から「回さない」型に改装した店舗では売上高がおよそ1.5倍に増えた。食品ロスも削減でき、2017年5月時点での売上高は、前年比8・1%増の349億円。増収増益を達成している。