「基本的に、改善はないと思います。最近、トコジラミ対策が大変です。福祉事務所に、簡易宿泊所からトコジラミが持って来られることもあるので」(関東・Bさん)

 トコジラミの増殖は、劣悪な住環境を少しでも快適にする余裕が、貸主から奪われた結果かもしれない。生活保護と無関係に、夏の高温が原因なのかもしれないが。

 そのトコジラミは、関西では「南京虫」と呼ばれる。大阪市西成区の「あいりん地区」には、「南京虫駆除」という貼り紙が多く見られる。また同地区のコンビニでは、トコジラミを退治できるという強力殺虫剤が売られている。

南京虫増殖に防火不備…死者まで出した低所得者住宅の劣悪事情横浜市中区の「ドヤ街」。現在は住民の高齢化に伴い、「ドヤ」(簡易宿泊所)のアパートやバックパッカー向け宿泊施設への改修が進む。また、訪問介護ステーションも増加している(2017年2月撮影)南京虫増殖に防火不備…死者まで出した低所得者住宅の劣悪事情横浜市中区、かつて「ドヤ」だったアパート。生活保護の高齢者・傷病者が主な住人。管理人が見守りなどの支援を行っていることも多い(2017年2月撮影)

 関西のCさんは、次のように語る。

「生活保護の家賃補助が満額となる基準は、4畳半の風呂・トイレつきワンルームであればクリアできます。通常、これ以下の物件はあまりないので、劣悪物件に対する家賃補助の減額には住環境の改善効果がほとんどありませんでした。と言いますか、現実の最低レベルに合わせて基準がつくられたのでしょう」

 それどころか、良心的なアパート運営を行っている業者ほど打撃を受けている。

「簡易宿泊所を転用した3畳程度・風呂トイレ共同のアパートには、影響が出ています。2015年の家賃補助の基準改定前は、月額4万2000円の家賃収入となっていたのですが、改定後は3万6000円となりました。面積の基準を満たしていないので致し方ないのですが、『福祉マンション』と位置づけて世話人を配置しているような良心的なところが打撃を受けています」(関西・Cさん)

 いずれにしても、貸主に対する“経済制裁“は劣悪な生活保護の「住」を排除することには役立っていないようだ。

安住の地を求めて
“最後の砦”に殺されるという悲惨

 しかしながら、住居を確保することが困難な人々が多数いるという現実がある。高齢化の進行によって、自分の経済力だけで住居を確保できない人々は増加しつつある。行き場がなく、札幌市で火災が起こった「そしあるハイム」のような“最後の砦”に安住の地を求めると「住居に殺される」という結末を迎えかねないようでは、救いがなさすぎる。この問題を解決するために必要なものは、何だろうか?