ユネスコのガイダンスでは
性教育は「5歳から」

 性教育衰退による犠牲を被るのは、他でもない子どもたちである。

「性を知ることは、自分自身を肯定的に理解することであり、それは、自分の身を守るための知識を得ることにもなります。そもそも大人たちが体系的な性教育を受けていないので、『小学生には早い』『中学生に避妊なんて教えてどうするんだ』という価値観を持っていて、これがストッパーになってしまうのです。しかし、グローバルスタンダードの指標として、ユネスコが出している『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』を例に出すならば、性教育の開始は5歳から設定しています。ちなみに、ヨーロッパの性教育スタンダードでは0歳からです」

 ユネスコのガイダンスにはこのほか、小学生に「コンドームなしの性交のリスク」について教える必要性について書かれていたり、中学生レベルになると、コンドームの正しい使用方法を学ぶことが大切だと記載されていたりする。コンドームという言葉さえ出てこない日本の性教育とは掛け離れた、踏み込んだ内容だ。

 日本の性教育では学習指導要領の「歯止め規定」により、小中高校いずれも性交については教えていない。また、肝心の性交渉や性病についてはスルーされているのが実情だという。

 かたや、厚生労働省の「感染症発生動向調査」によると、16年単年の報告数だけみても、20歳未満の性器クラミジア感染症は約2200人、淋菌感染症は約500人、性器ヘルペスウイルス感染症は約300人に上る。これを若さと個人の無知による不幸と片づけるのか、性教育をないがしろにしてきた大人の責任と捉えるべきなのか。

 子どもたちの将来を考えれば、教育者や大人が担う責任が少なからずあることは明らかである。