「一流のビジネスパーソン」たちは、日々どのように「ノート」を活用しているのか。リクルート出身の西村統行氏に、マッキンゼー出身で「一流のノート術」を研究する大嶋祥誉氏が、リクルートなどで磨いてきた「ノート術」について迫る。

リクルート社員必携の「リクルートダイアリー」とは?

大嶋 西村さんはリクルートご出身ですが、リクルートの人特有のノートの使い方はあるんですか?

西村 私がリクルートに入社したのは約30年ほど前になりますが、当時は「リクルートダイアリー」というノートとスケジュール帳が一緒になったものが配られて、みんながそれを使っていました。

大嶋 リクルートダイアリー、聞いたことがあります。それはどのようなものなんですか?

西村統行(にしむら・のりゆき)/株式会社ここはつ代表、共創場活軍師。1961年三重県生まれ。慶応義塾大学商学部卒業。1985年リクルート入社。一貫して、新規事業部門、新規プロジェクト・新サービスの立上げに従事。2005年、東京電力に入社。新興企業との合弁による不動産再生(リノベーション)事業Rebita(リビタ)を立ち上げる。2006年、キャリアライズに入社し、取締役、代表取締役常務を歴任。2012年より、横浜市技能文化会館館長(指定管理者)を兼任。2016年独立。組織開発による経営改革支援のコンサルタントとして活動する傍ら、企業に在席しながら社外武者修行体験でリーダーシップ&キャリア開発を行う「ナナサン(社内 社外=7:3の意)」を新たな時代のワークスタイルプラットフォームとして事業化中。

西村 A4判くらいの大きさの合皮革のノートで、左ページがスケジュール帳になっていて、右ページは通常の横罫のノートになっています。日本能率協会のものをベースに、リクルートがオリジナルで作ったものだったんですが、スケジュール帳は、朝8時から、夜は24時くらいまで書き込めるものでした(笑)。

大嶋 夜の24時ってすごいですね。(笑)

西村 今とは時代が違いましたから(笑)。当時、営業パーソンはとにかく稼いでナンボの世界で、左ページには1週間分アポをびっしり入れて、右のノート部分には「to do リスト」をみっちり書く。それで「to do」をこなしたら、赤ペンとか、ラインマーカーで消す。シンプルですけど、こうした時間管理、行動管理、目標達成のすべてをリクルートダイアリーでこなしていました。

大嶋 その書き方は、入社したときに教えられるんですか?

西村 いえ、教えられることは一切ないです。当時のリクルートは、とにかく「自分で考えてやれ!」というスタンスですから、「どうやってお客様にアプローチするのか」「どうやって売り上げを立てるのか」を徹底的に考え、現場で試行錯誤するなかで、ダイアリーの使い方も、仕事の仕方も覚えていくという感じでした。

大嶋 お話を聞いていると、リクルートダイアリーを使うことで、ものすごく基本的な「社会人としての仕事の仕方」みたいなものを修得していたように感じます。

西村 そうだと思います。スケジュール帳にしろ、ノートの使い方にしろ、今考えれば、とりたてて目新しいことはないんです。でも、当たり前のようにリクルートダイアリーを使うことで、(1)目標達成のための計画立案、(2)「to do」の書き出しと締め切り設定、(3)それをマーカーで消す、というプロセスが身につく。自己管理や目標達成の基本を修得できたのは大きかったと思います。

大嶋 リクルートダイアリーを使うことで、一つのルーティンが出来上がっていたんでしょうね。

西村 本当にそうです。当時の私にとって、リクルートダイアリーは「ルーティンを作るツール」として完全に機能していました。

大嶋 ノートを使って「自分なりのルーティンを作る」というはとてもいいアプローチですね。