上司からのオーダーには「大目的」がある

 上司からの仕事のオーダーというのは、全体の「一部分」を切り取って、あなたに渡しているものがほとんどだと思います。
 つまり、コピーであれば「コピーがほしい」のではなく、もっと大きな目的がある。
「お客様に資料を渡す(ことで商談を成立させたい)」など。

 ただ、オーダーを出すほうは、細かく注文は出してこないもの。
 「コピー頼む」だけです。
 そこで、一言上司に質問することで、より的確に背景を知り、そのオーダーの「大目的」を把握する。そうすれば、よりいい仕事ができるかもしれないのです。
 コピーした紙の資料、その後の使いみちを考えると、PDFにしておいて保管しておく必要がありそうだ。じゃあコピーと同時にスキャンして、PDFデータを上司にメールしておこう。商談が終わった後、お客様にメールを送る際にも使えるかもしれない。
 こんな感じで、先を見据えた動きができれば、仕事はますます面白くなります。

「いいからやれ!」という上司対策

 頼まれてないことまでやってもらえると、上司としてはすごく嬉しいです。
 仮にちょっと失敗したとしても、何か自分なりに考えて動いてみたことは「経験値」として次につながるものになります。そうやって積極的に仕事に関わろうとする新入社員を、悪く思う上司などいないはずです。
 できる人とか「ちょっと気が利くな」と思われる人たちには、頼んだ側が言っていないところまで気配りや分析ができている人。上司としては、本当に助かるし、思いがけず嬉しいものなのです。

 とはいっても、「いいから、やれ」などと「なぜ」を説明してくれない上司もいるかもしれません。そんな場合はどうすればいいのでしょうか。

「もちろんやります。いい仕事をしたいので、何のために使うか、よかったら教えてください」
 謙虚かつ堂々とぶつけてみるのです。

ここまで言えば、たいていの上司は嫌がることなくていねいに教えてくれるはずです。

 本来なら、上司がしっかり新入社員に説明すべきところですが、仮に上司が細かいことを言ってくれなかったとしても、遠慮することはありません。

 これはほんの一例ですが、仕事を面白くする方法はいくらでもあります。

 その第一歩として「何のために」を意識することからはじめてみましょう。

 次回は、 3つの原則・新入社員からの質問と答え をご紹介します。(2018年3月7日更新予定)

岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長。
1976年埼玉県生まれ、幼少期を英国で過ごす。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティング グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。
世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。
著書は『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』(ダイヤモンド社)、『ハーバードMBA留学記―資本主義の士官学校にて』(日経BP社)、『生命保険のカラクリ』『がん保険のカラクリ』(文春新書)、『ネットで生保を売ろう!』(文藝春秋)など多数。