自己不全感で悩んでいても、多くの男性は「仕事」で頑張れば、認めてもらえる。しかし、一般的に女性の場合、仕事だけでなく、炊事、洗濯、掃除、育児、介護、近所づきあい、金銭管理など、何もかもやらなければならない。だから、うつ病は女性のほうが多いという。

「彼らは、中学、高校、大学生の頃までは、成績が良くて、頭が普通程度以上。勉強が良くできるし、問題行動もない。周囲は、発達障害と思い浮かばないんですよね。職場に出たり、結婚したりした時に初めて、諸々のトラブルに悩まされる方が多いのです」

なぜ発達障害の人は
「引きこもり」になりやすいか

 では、なぜ発達障害の人が「引きこもり」になりやすいのか。星野医師は、決定的な要因として、以下の点を挙げる。

① 発達障害に気づき、受け入れ、認めているかどうか
② 最低限の社会性を身につけているかどうか
③ 自分の特性を活かせる適職に就いているかどうか
④ 家族や周囲の理解と支えがあるかどうか

 つまり、本人や家族がこれらをほとんどできていないケースだと、引きこもりになるケースが多いという。

 星野医師の外来には、ADHDやアスペルガー症候群で、現在「引きこもり」状態にある人は、百数十人。20歳代から40歳代が中心で、最近は50歳代の人も増えてきている。ここでも、高年齢化の状況が伺えるのだ。

 こうした発達障害のある人が進学や就職を考えるとき、「1人暮らしは避けたほうがいい」と、星野医師は指摘する。

 ADHDやアスペルガー症候群の多くの人は、親元を離れて1人暮らしを始めると、身の回りのことができなくなり、ほぼ例外なく生活が破たんするからだという。

向いているのは学者などの専門家
協調性や臨機応変さが必要な営業職は不向き

 また、社会に適応できていない人は、例外なく自分の特性を活かした適職に就いていない。そこで、適職に就くためには、

① 興味の対象を知る
② 得意なことを書き出す
③ 収入が得られるものを探す

 の3つのステップで絞り込むことが必要という。