がんゲノム医療でまず必要になるのが「がん遺伝子検査」。がん細胞を患者の体から取り出し、どの遺伝子に異常があるかを調べる。

 ちなみに、米女優のアンジェリーナ・ジョリーが受けたことで知られる「遺伝子検査」は、名前こそ似ているが、全くの別物。がん化する前の細胞の遺伝子を調べ、遺伝的要因による将来のがん発症リスクを調べるもので、がんの治療法を探すものではない。

 がん遺伝子検査に話を戻そう。すでに健康保険が利く検査に肺がんでの「EGFR遺伝子変異検査」などがあるが、単一の遺伝子が対象な上、がん種も限られる。

 対して、網羅的がん遺伝子検査は100以上の遺伝子変異を一括で調べられるが、さまざまな種類があり、調べられる遺伝子の数が違ってくる。日本では、治療薬の販売承認を得るために行う治験と呼ばれる試験のほか、すでに一部の医療機関で自由診療として患者に提供されている。

 検査の希望者は、ほとんどが全身にがんが転移した患者。従来の治療が効かない患者にとっては、残された数少ない“希望の灯”だ。

「高額でも受けたい」
60万円以上の検査に問い合わせが殺到

 この検査を自由診療で受けるときの大きな問題が価格である。医療機関によってさまざまだが、60万~100万円超と高額なのだ。実施する各医療機関には問い合わせが殺到しているが、経済的な理由で涙をのんだ患者も多いだろう。

 そんな網羅的がん遺伝子検査の一つである「NCCオンコパネル」が、今年の初夏以降、先進医療に指定される予定だ。加入する民間の医療保険の条件や、検査を受ける医療機関にもよるが、自由診療よりも安くなる可能性がある。

 厚生労働省は2月、全国11の医療機関を「がんゲノム医療中核拠点病院(ゲノム中核)」に指定。がんゲノム医療を全国の患者に届ける体制づくりを本格化する姿勢を示した。

 ゲノム中核となったある大学病院の医師は、「来年以降、ほかの種類の検査も次々に先進医療になりそうだ」と明かす。