誰もが「最初の5分」であなたを忘れられなくなり、「5日後」にはあなたのファンになっている!フォーチュン500の米トップ企業が導入している、人間関係の悩みを解決する超合理的メソッドをまとめた書籍『CAPTIVATE 最強の人間関係術』から、一部を編集してお届けする。
75%の人がお金を出した言葉とは?
1994年、3人の研究者がある実験を行なった。
俳優を雇って、道行く人々に物乞いをしてもらったのだ。
俳優は3種類のセリフを使って通行人に話しかけた。
1 「小銭をくれませんか?」
2 「25セント硬貨をくれませんか?」
3 「37セントくれませんか?」
どの頼み方が一番効果があったか、わかるだろうか?
ご名答。通行人がイエスと答えた割合が一番多かったのは、3だ。
1 「小銭をくれませんか?」(44%の通行人が応じた)
2 「25セント硬貨をくれませんか?」(64%の通行人が応じた)
3 「37セントくれませんか?」(75%の通行人が応じた)
研究者たちは、ちょっと変わった質問やとっぴな質問のほうが、人々の関心を引きやすいと結論づけている。
ユニークな質問、思いがけない話、めったにない出来事を耳にすると、私たちは集中して聞く。コーヒーを飲んだときみたいに、脳が目覚めるのだ。
つまり、あなたが普通と違うことをすると、人はハッとするのである。
みんなと同じことをすれば、退屈な人間になる。
型にはまろうとすれば、忘れられてしまう。
「普通の人」のようにふるまえば、おもしろみがなくなる。
私は自分のウェブサイトでこんな実験をしてみた。
大抵のウェブサイトには、「ここをクリック」とか「お申し込みはこちら」、「詳しくはこちら」などの文言がある。
そこで私はアプローチを変えて、サイドバーに「ここはクリック禁止」と書かれたボタンを置いてみたのだ。
このあやしげな文言のおかげで、このページのアクセス数は爆発的に増え、今もアクセス数はトップクラスだ。
ちなみに、このボタンをクリックしてくれた人は、そのお礼としてかわいい赤ちゃん動物の動画が見られるようになっている。
肩書きを変えるだけで
相手の反応がよくなる!
対人スキルにちょっと自信がついてきたとき、私は自分を売り込むときの会話をもう少しおもしろくできないかと考え始めた。かつての私はこう自己紹介していた。
「作家です」
ああ、個性のカケラもない!
前述の実験にたとえるなら、「小銭をくれませんか?」という頼み方に等しいではないか。
相手の耳には入っても、印象には残らない。
「あっそ」と思われるだけで、すぐに忘れられてしまう。
そこで私は先ほどの実験を、自分の名刺でやってみた。
私の職業を3通りに言い換えて名刺に印刷し、それぞれの名刺に異なるメールアドレスを載せたのだ。
1 「作家」
2 「人間に関する記事を執筆しています」
3 「人間ウォッチングの専門家」
その後、数週間かけて、誰かに「ご職業は?」と聞かれるたびに、職業名をどれか一つ名乗り、相手から求められたら、名刺を渡すことにした。
そしてみんながどの名刺を一番ほしがったか、どのメールアドレスにもっとも多く連絡がきたかを調べた。
思ったとおり、「作家」と名乗ったときは、「名刺をください」と言われる回数も、イベント後に連絡が来た回数も少なかった。
だが「人間に関する記事を執筆しています」と名乗ると、相手は笑って「名刺をください」と言ってくれた。
私がさらに踏み込んで名刺にユニークな画像と肩書きを入れたところ、連絡がくる確率がさらに上がり、クライアントの獲得に役立つことがわかった。
すぐできるハッとさせる6つの方法
生活のあらゆる側面を刺激的にする方法を考えてみよう。
あなたと出会った人々に、ドーパミンがドバッと分泌される瞬間を提供するのだ。
そうすれば、あなたは相手の印象に残り、相手はあなたを忘れられなくなる。
人々とのやり取りのなかで、きらめきを作る簡単なアイデアをいくつか紹介しよう。
1 肩書きを工夫する
住宅ローンの販売会社、クイッケン・ローンズには、「雑務担当副社長」というポジションがある。雑用全般を手伝うスタッフのことだ。
教科書の出版を手がけるホートン・ミフリン・ハーコートでは、受付係を「第一印象責任者」と呼んでいる。受付係は、来訪者に最初にあいさつする会社の顔だからだ。
2 インスタグラムに料理や夕日の画像をアップするのをやめる
代わりに、誰も見たことがないような画像をアップしよう。
写真家で新米ママのローラ・イズミカワは、眠っている赤ん坊にジョン・スノウ、ピカチュウ、ビヨンセなどの格好をさせた(むちゃくちゃかわいい)画像をウェブサイトにアップしている。イズミカワには40万人のフォロワーがいて、彼女のサイトはハフィントンポスト、バズフィード、テレビ番組『インサイド・エディション』でも取り上げられた。
3 メールの署名にユニークな文言を入れる
メールと分析ソフトの開発者であるノア・ケーガンは、メールの署名におもしろい文言を載せている。
4 クライアントにはコーヒーを出さない
代わりに、バニラティー、レモネード、ケーキポップ〔棒のついた一口サイズのケーキ〕などユニークなものを出そう。
サンディエゴで有名なローベルジュ・デル・マール・ホテルにチェックインしたとき、ルームキーと一緒にスモアのカップケーキをもらった。ウェルカムギフトだそうだ。
おかげでホテルに到着早々、私は至福のときを過ごすことができた。
5 持ち寄りパーティにキャセロールを持参するのをやめる
代わりに、誰も食べたことがないレシピを試そう!
6 サンキューカードではなく、サンキュー・ステッカーを送る
他にもバッジ、棒つきキャンディ、ポップコーンでもいい。
ウエディング関連企業向けの会議「ビー・セイジ・カンファレンス」では、出席者がセッションの合間や帰りの飛行機内で楽しめるよう、塗り絵と色えんぴつを渡している。
どちらも好評で、参加者は完成した塗り絵の写真を何枚も撮って、カンファレンスのハッシュタグをつけてSNSにアップしている。
退屈な人を好きな人はいないし、そんな人との会話は記憶に残らない。
不安がらずに、新しいジョーク、くだらない話、会話にきらめきを生み出すちょっと変わったことをどんどん試してみよう。そうすれば、忘れられない人になれるだろう。