もはやお家芸の半導体は総崩れに
“国策会社”のエルピーダが破綻した意味
2月27日、DRAMなどの半導体分野で世界シェア第3位のエルピーダメモリが、企業業績の不振を理由に会社更生法を申請した。
エルピーダメモリは、1999年に日立とNECの半導体製造部門が統合されてできた企業だ。その後、2003年に三菱電機の当該部門を吸収し、わが国で唯一のDRAM専業メーカーとなった。いわば“日の丸半導体メーカー”である。
リーマンショック後の世界的な景気低迷によって、同社の収益状況は悪化し、08年には約1800億円の赤字に転落した。翌年の09年に、産業活力再生法の適用を受け、300億円の公的支援を受けることになった。
一連の動きを見ると、エルピーダメモリは官民を挙げてわが国のメモリー製造部門の存続を担う“国策会社”の位置づけが強かった。そのエルピーダメモリが、パソコン需要の減少やライバルである韓国企業との競争の激化などの要因によって、今回、破綻を余儀なくされた。その意味は大きい。
円高の進展や、パソコンからスマートフォンなどへの需要の転換などの外部要因はあるものの、わが国のお家芸とも言える製造業の分野で、ライバルである韓国企業に敗れたのである。
今後、わが国の製造業部門が進む道を考える意味でも、約20年前、世界市場を席巻していたわが国の半導体企業が、何故、ここまで追い込まれてしまったのかを検討しておく必要がある。誰が“日の丸半導体メーカー”を殺したのかを究明しなければならない。