参考までに、ある土木建設系会社の記入例を紹介する。

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設問1 他社はうまくできなかったが、わが社はさしたる苦労もなしにできることは何か。
現場(プロジェクト)管理能力を生かした農業生産法人の運営など、新規事業の参入が得意である。会社経営面では、早期にホールディング化を進め、傘下の子会社のマネジメント能力を磨いてきたため、M&Aなどの企業連携に取り組むのが得意である。

設問2 他社はさしたる苦労なくできているのに、わが社ができなかったものは何か(弱みの認識)。
慎重な事業運営の裏返しとして、機敏さに欠ける。急激な事業展開や企業規模の変化に体質的に弱い。

設問3 市場でリーダーシップを獲得している要因となっている知識(強み)は何か。
除雪や公園管理、社会貢献活動など、建設事業を通じた地域社会とのつながりが強く、農家や地域住民、行政からの信用が厚い。

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 シートを記入する際、自分や周囲の社員だけで考えていたのでは、本当の姿は見えてこない。顧客はもちろんのこと、日頃から交流のある同業他社に聞いてみるなど、なるべく多様な視点でチェックしてほしい。

 自らの強みを把握できてはじめて、「われわれの事業はなにか」という最も重要な問いに対する手がかりを得ることができる。事業の定義など、言わずもがなのことに思えるかもしれないが、「わかりきった答えが正しいことはほとんどない」とのドラッカーの言葉を思い出してほしい。