たとえば、勤続38年なら、退職所得控除額は2060万円。この金額までの退職一時金なら税金がかからないため、丸々手取り額となる。仮に退職金が2000万円なら、非課税枠に収まるので迷わず一時金を選択すべきだろう。

 退職所得にはあと2つ魅力がある。1つは、他の所得とは合計せずに、退職金単独で税金の計算をすること(分離課税)。所得税は累進分離課税といって、所得が多いほど税率は高くなる。定年前の給与と合計せずに単独で課税されるのは、大きなメリットだ。

 もう1つは、退職所得には社会保険料がかからないこと。給与や年金収入には原則として社会保険料がかかり、保険料負担分、手取りは減少する。退職金を一時金で受け取ると、税金だけで済むのはありがい仕組みだ。

 このような理由から、退職金は可能な限り一時金受取りをすることをお勧めしている。

「公的年金等控除額」を
60代前半に使わないのはもったいない

 では、退職金の金額が控除を大きく超えるケースや、DC(確定拠出年金)の受け取り方法も一時金と年金で迷っているケースは、どのようにするとトクなのか。

 次に知っておきたいのは、「公的年金等控除額」である。これは給与所得控除の年金版と考えるといい。年金収入には、金額に応じて、一定の非課税枠(公的年金控除)が設けられている。この控除の対象となるのは、公的年金だけではなく、退職金を分割受取りした際の年金、企業年金、DCの年金も含まれる。

 ここで次の図を見てもらいたい。注目すべきは図中の「その2.『60~64歳の公的年金等控除額』最低額年70万円」だ。