あまりに環境にやさしくない
ビットコインのマイニング
このPoWの最大のデメリットは、総当たりの早い者勝ちですので、必然的にマイナーはより多くのコンピュータを用意して、なるべく速く、なるべく多く計算しようとします。
そして、これだけビットコインが注目されている現在、競争は激化して、結果的に大量の電気を消費することになります。
ビットコインが「環境にやさしくない」と言われるのは、こうした理由からです。
確かに、電気を消費すれば二酸化炭素が排出されますので、環境に良くないのは事実です。
しかし、仮想通貨という新しいイノベーションが生まれようとしているときに、なんらかの弊害があるのはいたしかたないと主張する人もいます。
また、ビットコイン、仮想通貨、そしてブロックチェーンはもはや誰にも止めることはできないとよく言われますが、実際、すでに仮想通貨は特に法定通貨に対する信頼の低い国などでは、どんどんと実体経済でも使われ始めています。
たとえば、キプロスでは、学費をビットコインで支払うことができます。
また、アルゼンチンではコンビニでペソをビットコインに両替することができます。
そのうち、私たち日本人も、円をコンビニで仮想通貨に両替できる日が来るかもしれません。
また、国によって温度差はありますが、日本などは「仮想通貨推進派」と言ってもいいでしょう。
さらには、ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授の提案した1万円札廃止論に端を発して、多くの知識人が「今後、日本はキャッシュレスの世界に移行することを模索するのではないか」と論評していますが、仮にその方向に進むにしても、誰もが使う法定通貨の円をすべてデジタルにして、紙幣をなくしてしまう。そんなことが5年、10年でできるとは、私には思えません。
少なくとも、高齢者全員にスマホを持たせてデジタル決済させるなど、考えるまでもなく不可能です。
また、日本中のすべての店舗にデジタル決済用の端末を設置するのにも時間がかかるでしょう。
そうなると、仮に日本政府が「デジタル円」のような通貨への移行を考えているにしても、そうした世界が実現するまでは、仮想通貨が決済手段として使われる可能性は十分にあると思います。
ただし、時に法律よりも怖いのは世論です。
今後、環境団体などの猛反対でPoW方式のマイニングができなくなる。そんな国際世論が形成される懸念はゼロではないと感じます。
もしかしたら、ビットコインを消滅に追いやるのは、政府でも中央銀行でもなく、市民活動であるという可能性はありえない話ではないと個人的には思っています。