優先されるべきは
若者が自衛力を身につけること

 ちなみに、世界87の研究をもとに、13ヵ国の専門家の協力を得てユネスコがまとめた『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』では、「誰であっても、どのような文化のもとで生活していようとも、あらゆる性的行動が起こることを想定して、性教育を考えなくてはいけない」という趣旨の指摘をしている。

 では、日本の現実、そして文化はどうか。未成年時の妊娠によって学習の機会を失う女子学生はいまだに数多い。またJKビジネスを筆頭に、日本のロリコンカルチャーの危険性は海外メディアからも指摘が絶えず、若者が性的に搾取される事例も枚挙にいとまがない。

 こうした角度からも、早い段階で若者に知識を授け、自衛力を高めるように促すことが優先されるべきだろう。そして、性交渉のプロセス、生殖の仕組み、避妊具の使用方法など、性的行動にまつわることを、すべからく教えるべきだという立場から、「何を」「いつ」「どのように」教えるか組み立てていく議論が必要なはずだ。

 だからこそ、教師や研究者が現場で試行錯誤を繰り返し、より効果的な教育プログラムを組み立てていくことが望まれる。その成果を見ずに、実践の一部だけを切り取って“不適切な性教育”と断定することこそ、不適切ではないだろうか。

 性教育は人間の生命や健康に極めて密接なことから、国や教育機関が公的にその責任の一部を負っていることは間違いない。ぜひ子どもたちが置かれている現実を直視した、前向きな議論を切望する。