ただ、病状を的確に理解した担任は、体調に応じたきめ細かい指導をしてくれたが、理解が乏しい担任になると、そうはいかない。

 体調不良となまけの見分けがつかず、体調を無視して学習を強いたり、叱ったりする。また病気療養中の児童が虚弱支援学級に加わったため、哲人くんへの配慮が不十分になった時期もあった。

 必要な支援が得られないと症状は悪化。しかし、理解ある担任に代わると、とたんに回復したという。

 MCSの子どもが学習を続けるには、揮発性化学物質が少ない教室とともに、理解ある教師が必要なのだ。

 中学でも小学校とほぼ同じ体制をとってくれたが、大きな違いは科目ごとに担当教師が代わることだ。このため先生との情報共有が難しくなる。

 そうした中でも体力は徐々につき、1年の2学期からは卓球部に入って部活動も始めた。練習は体調が許す限り他の部員と同じことをし、できないときは部員と相談して別メニューをこなし、特別支援学級生の卓球大会で入賞するまでになった。

 次の課題は高校受験だ。体調に合わせて勉強できる「単位制」を選ぶか、思い切って「普通科」に挑戦するか、高校が開くオープンキャンパスに参加しながら結論を出すことにしている。

 こんなケースもある。

 札幌市の小学4年生マモル君(仮名、9歳)は、4歳のときにMCSを発症した。小学校に入学したところ、床のワックスに暴露して症状が悪化。徐々に回復していたが、2年の夏休みに参加した行事でさらに悪化し、登校できなくなった。

 実情を知った石川佐和子市議(市民ネットワーク北海道)が、担当者から教委の考えを内々に聞き出したうえで、昨年3月の市議会で質問。答弁にたった学校教育部長から「児童・生徒の症状などにより特別支援学級への入級が必要な場合には、本人や保護者の意向等も十分に踏まえながら検討する」との言質を得た。

 これを受けて母ルミ子さん(仮名)が市教委に申請。定められた審査を経て、「入級が必要」と判断された。