孤独になりたくなければ
30代から居場所探しを始めるべき

 では、孤独を避けるためにはどのような対策が有用なのか。孤独対策先進国といえるイギリスでは、「Men's Shed」(男の小屋)というDIYを目的とした草の根のコミュニティーが爆発的に広がっているという。

 参加者がそれぞれ、テーブルや椅子などの自分の作りたいものを作りながら、時には共同作業をすることによって自然と会話が生まれていく。こうした場への参加が孤独対策につながっているようだ。

 一方、日本では福祉サービスのほとんどが公的なもので、NGOの活動なども限定的だ。そのため、「Men's Shed」のようなコミュニティーも少なく、一人ひとりの細かいニーズには対応できていないのが現状だ。

 岡本氏は、コミュニティーをつくるといった諸外国の取り組みを参考にした上で、会社勤めをしている30代、40代のうちから、社外の人や地域との接点を持ち、自分の居場所を見つけることが大事だという。

「日本の会社文化では上位下達的なコミュニケーションが主流なので、退職後の肩書きなしでの人付き合いが、うまくできない人が多い。会話が苦手なら、自分の好きな趣味などを通じてつながる方法もあります。単に行きつけの飲み屋を見つけるだけでも、孤独感を解消することができると思います」

 近頃の「働き方改革」や、AI時代を迎えるにあたり、人間の労働時間は減っていくことが予想され、余暇の時間をどう過ごすのかは、以前にも増して重要になってくる。

 日本では、「孤独を楽しむ」「孤独と向き合え」という精神論が幅広く支持されてきた。さらに、男たるもの武士のように誇り高く「孤高」であるべきという美学も、特に中高年男性には根強い。このように、孤独は決して悪いことではないという考え方が、日本を孤独大国にしていると岡本氏は指摘する。

「人間は1人で生きてはいけない」。そのことに退職後気付いても遅いのだ。