じわり高まる廃業リスク

 大阪府は、パナソニックのお膝元であり、シャープの液晶堺工場の所在地でもある。大手製造業が操業停止に追い込まれたことから、「関西に製造拠点を持つメーカー」の株価もそろって値を下げた。

 もっとも、過去の震災時に比べれば、製造業への影響は軽微だといえるだろう。

 東日本大震災の直後には、“ルネサスショック”に見舞われた。ルネサスエレクトロニクスの那珂工場が被災し、自動車メーカーが枯渇する汎用半導体を取り合ったことからパニックに陥ったのだ。それに対して、今回は日本の製造業全体へ波及するようなサプライチェーン(部品供給網)の寸断は見られない。

 SMBC日興証券の試算によれば、今回の大阪北部地震が日本経済に与える経済損失は1835億円に上るという。主として、観光客の減少や一時的な生産停止による損失が加味されている。

 東日本大震災の被害総額は約16.9兆円、熊本地震のそれは最大約4.6兆円とされている。金額の規模だけを見れば、大阪北部地震の国内経済へのインパクトは小さいようにも見える。

 だが、ある金融機関幹部は「自動車・電機業界は裾野が広くサプライチェーンの影響が遅れてやって来る場合もある。特に中小企業の財務状況を注視している」とくぎを刺す。

 実際に、この発言を裏付けるようなデータもある。中小企業の廃業リスクが懸念されているのだ。

 東京商工リサーチの調べでは、「震度6弱」の地震を観測した被災地域に本社を構える企業3万8322社のうち、資本金1億円未満の企業の構成比は98.5%、売上高10億円未満の企業の構成比が83.7%に達することが分かった。本社所在地の範囲を大阪府へ広げると、それらの数字はさらに高まる。要するに、中小零細企業が集積しているということだ。

 財務余力の乏しいこれらの企業が被災した場合、「設備修復や売り上げ減少などで資金繰りが難しくなりやすい」(東京商工リサーチ)。

 設備損壊などの壊滅的な打撃を受けないまでも、もともと事業承継の悩みを抱えていた零細企業にとって、被災は一大事。負の影響がボディーブローのように効いてきて、廃業に追い込まれるケースだってあり得るのだ。