インターネットとスマートフォンの発達により、私たちの生活や常識はこの数年で大きく変わりました。アマゾンによって小売店舗のビジネスモデルは破壊され、UberやAirbnbのようなネットを利用した新しいビジネスモデルも次々に生まれています。こうしたイノベーションは何か新しい技術や製品でもたらされているのではなく、アイデアと決断のスピードによって生まれています。つまり、イノベーションをリードするのは「人」なのです。『人事こそ最強の経営戦略』の著者であり人事戦略コンサルティングの第一人者・南和気氏が、人事が経営を変えていった企業を紹介していきます。今回は、グーグルを取り上げます。
インターネットで圧倒的な力を示すグーグル
売上高12兆円超、前年比20%以上で成長中
今やグーグルという企業名は日本においても広く知られています。しかし、グーグルが設立されたのは1998年で、他の巨大なIT企業と比較すると圧倒的に若い企業といえます(アップルは1976年、マイクロソフトは1975年設立)。
グーグルを一大IT企業へと成長させたサービスは、多くの方がご存じの「検索エンジン」です。創業当時の米国には、すでに有力な検索エンジンとして米ヤフーの展開する「Yahoo!」などが存在していましたが、グーグルは後発ながら、既存の検索エンジンにない技術を駆使し、徐々にシェアを拡大していきました。
グーグルとヤフーの両者を決定的に分けたのは、グーグルによるYouTubeの買収です。単なる文字情報だけではなく、動画という新たなコンテンツを、高速に検索できる技術によって、グーグルはインターネット業界で圧倒的な地位を獲得しました(米ヤフーはすでにインターネット事業を売却)。
今や、グーグルの検索エンジンは、中国やロシアなど一部の国を除き、世界で90%のシェアを占めています。日本ではまだYahoo! JAPANが一定の存在感を示すものの、実はYahoo! JAPAN検索は、内部的にはグーグルの検索エンジンを利用しているので、実質的なシェアは日本でも90%を超えています。世界にとって、インターネットの入り口はグーグルなのです。
グーグルのシェアは今もどんどん拡大しており、親会社であるアルファベットの年間売上は、2017年に1109億ドル(約12兆2000億円)を記録しています。そして、この規模でなお、前年対比20%以上の成長を続けている驚異的な企業なのです。