ただ、外国人労働者を必要としているのは、農業、介護などの5業種だけではなく、医療、サービス業、製造業など多くの業種も働き手を求めている。例えば、7月5日にプレジデントオンラインに掲載された『なぜ東京の「名門病院」が赤字に陥るのか』という記事でも、経営困難な病院の救済措置として、「アジア圏からドクターや看護師を受け入れるのも有効な手段」で、「放射線科医であれば患者に接する機会はほとんどないから、言語の壁もない。日本人と同じ待遇でそれ以上に働いてくれれば、コストは下がる」と提案している。

 他のメディアも「警備業界などさまざまな業界から、要望が来ている」という与党関係者の発言を報じている。外国人労働者の受け入れが認められる対象業種のさらなる拡大も、もはや視野に入れないといけないところまで来ている。現在すでに68業種で受け入れを認めている外国人技能実習制度の対象業種を考えれば、その必然性が理解できる。

 日本では現在、約128万人の外国人が働いている(厚生労働省調べ、2017年10月末時点)。実態はもっと多くの外国人が働いているはずだ。法務省の統計では、2017年末時点で日本に滞在する外国人は256万人となっており、このうち27万人が技能実習である。また留学生も31万人ほどいるが、かなりの数の留学生がコンビニや飲食店などで単純労働に従事している。一方、2018年1月1日現在の不法残留者数は前年比1.9%増の6万6498人で、4年連続の増加を記録している。これらの不法残留者のほとんどが不法就労者と見ていい。

 しかし、これまで移民は受け入れないスタンスだったため、日本社会全体では、まだ外国人労働者を受け入れる精神的、物質的コンセンサスができておらず、そのインフラもできていない。例えば、日本は外国人労働者の滞在を、家族帯同のない出稼ぎの形態として想定している。専門分野の資格試験に合格するなど専門性を有すると認められれば、在留期限を撤廃し、家族を伴う滞在形態も認める方向だ。

 分かりやすく言えば、日本が一番求めたいのは外国人「労働力」で、外国人「労働者」ではない。家族、文化、宗教などの生活実態を伴う外国人労働者を受け入れるには、医療、義務教育、就職、治安など多くの社会的コストがかかる。この方面の覚悟は、日本社会ではまだできていない。「外国人庁」の創設など体制整備が不可欠と提案する声は、まさにこうした問題を十分認識したうえでの判断だと思う。

技能実習生として日本に来る
中国人は遠からずいなくなる

 中国は日本と同じ漢字文化を持ち、しかも人口大国である。その中国から多くの中国人労働者を導入しようと考えている企業と政治家がいる。私のところに実際、相談しに来た人もいる。

 もちろん、人口大国の中国から労働者を受け入れることは可能だ。しかし、その人口大国も働き手不足に苦しんでいる実態を理解しなくてはならないと思う。10年前の2008年に、私はすでに日本のメディアに「やがて中国は労働者輸入国になる」という内容の記事を発表し、中国が外国人労働者を輸入し始めている実情を紹介している。