また、法務局で遺言書の電子データを保管することにより、遺言書が存在している事実を明確にします。「確か、お父さんが遺言を書いたと言っていたけど、見つからない」といったことも避けられますし、遺言書の変造を心配することもありません。
そしてなにより、いままで自筆証書遺言の大きな壁の1つであった「家庭裁判所での検認」が不要になります。
「検認」制度とは、相続人に遺言の存在とその内容を知らせ、検認の日における遺言書の内容を明確にする手続のことです。遺言書の偽造・変造を防止するために行なわれます。ちなみに、これは遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
相続発生時に自筆証書遺言があったとしても、親族間で紛争などがあると、これまでは家庭裁判所での検認手続きが必須でした。検認には数週間から数ヵ月もの時間を要し、その間、銀行預金などが凍結されるので、葬儀のためにお金を引き出したくても、それができないといった問題もありました。
でも、これからは、この「自筆証書遺言の法務局保管制度」を活用すれば、検認手続きの不便さからも解放されます。
提出書類が減少!
「遺言書情報証明書」だけでいい
では、自筆証書遺言の保管申請手続きの流れを見てみましょう。まず遺言者が、遺言書保管所として指定された法務局に対して、遺言の保管申請を行います。代理申請は不可です。
法務局の遺言書保管官は、遺言者の本人確認を行った上で、申請を許可した遺言書の画像などの情報を磁気ディスクに保存します。遺言者はいつでも保管された遺言の閲覧を請求できるだけでなく、いつでもこれを撤回することもできます。