次に、相続開始時における手続きの流れを見てみましょう。まず関係相続人等が、法務局の遺言書保管官に「遺言書情報証明書」の交付を申請します。そして、その証明書を金融機関等の窓口に提示すると、相続手続きが即時行えるようになります。つまり、遺言者が作成した「遺言書」が、相続発生時点(遺言者の死亡時点)から「遺言書情報証明書」となるわけです。

 これで、いままで必要だった遺言書やその他の関係書類一式を提出する手間が省けますね。

 似たような制度に、平成29年5月29日から全国の登記所(法務局)で始まった「法定相続情報証明制度」がありますが、それとイメージが近いかもしれません。今までは各金融機関に、遺言書もしくは遺産分割協議書と印鑑証明書、すべての法定相続人の戸籍謄本等を提出していましたが、「法定相続情報証明一覧図」の写し1枚で要件が足りるようになりました。

 この新しい制度が2020年4月1日に開始され、生活の中に定着していくことで、多くの日本人が遺言の有効性や便利さを肌で感じられるようになればよいと思います。