あなたの目標を明確に定義する

  これは、あなたのプライベートでも同じことだ。

  ジムでトレーニングをしているお年寄りを見ていると、ときどき、「この人たちの目標ってなんだ」と考えてしまうことがある。

 おそらくお年寄りがジムでトレーニングを始めた動機は、長く健康に生きることのできる体を作るためだろう。

 それが、トレーニングをしていると、だんだんと力が入ってきて、ウェート・トレーニングとかを始める人が出てくる。60歳を優に超えた人が筋骨隆々。上腕二頭筋の盛り上がりはすごい。

 以前、行きつけのスポーツジムで聞いた話だが、これが昂じて、ウェート・トレーニングに熱中したために、重すぎるウェートをかついで半月板を損傷し、杖をつかないと歩けなくなった方がいたという。これはやりすぎだ。

「長く健康に生きる」という当初のトレーニングの目的を自ら破ってしまったというわけだ。

 こういうふうになってしまうから、目標は自分で探し、それを明確に定義すること。

 そして、それを守ることが大事なのである。

目標達成に向かって最短距離を走る

  目標がハッキリ決まったら、次にその目標を達成するために何が必要なのかを突き詰めて考える必要がある。

 ここを漠然と考えていると、そのあとの目標を達成するための方策が、実は目標達成のためには不要だった、ひどいときには、目標達成を阻害するものだったということになりかねない。

 こう説明しても、読者の多くの方は、「そんな馬鹿なことするわけないだろう」と思うのではないだろうか。ところが、現実はこういう事例に満ち溢れているのである。

目標を達成するための手段は適切か?

 たとえば、私が勤めているコンサルティング会社に面接に来る人と話したときのこと。 先日、数カ月前まで、外資系コンサルティング会社に勤めていた40代半ばの人を面接する機会があった。

 私は面接ではいつも、「あなたは将来何をしたいのか? 当社に入ることがその目的にどうフィットするのか?」と聞くことにしているが、そのときに得た答えは、「将来は企業の経営者になりたい」というものだった。

 そこで、私が「確かにウチでは、クライアントの組織に入り込んで仕事をするので、他のコンサルティング会社より経営に近いが、そうは言ってもコンサルティングはコンサルティングだ」と説明すると、この方は、「それでも入りたい。やってみたい」と言う。

 そこで、私は、「でも40代半ばになって、ウチに入ったらもう経営に直接携わるチャンスはなくなってしまうのではないですか」と言って別れた。

 この方は当社に面接に来ているので、「そうですか。自分の思っている仕事とは違いました。それなら結構です」と言える状況にはなかった。

 だが、それを割り引いて聞いても、私は、「この人は自分のキャリア・ゴールがわかっているのだろうか。なぜウチを志望しているのだろうか」と思わず考えてしまったのである。